睡眠の質が爆上がりする!? 「マジで効く」と話題騒然のYakult1000は何がすごいのか ヤクルトの開発者に聞いてみた
一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」を謳うYakult(ヤクルト)1000が今、爆発的に売れているのをご存知だろうか。宅配商品のYakult1000は1日114万本を売り上げ、スーパーやコンビニなどの店頭で扱われるY1000に至っては、一部で慢性的な品薄状態に。SNSでは「今日も買えなかった」という報告が相次ぐほどの事態になっているのである。空前のヒットの要因は何なのか。ヤクルト本社の開発部研究開発管理課課長、渡邉治さんに話を聞いた。
Yakult1000/Y1000は、上述したように、一時的な精神的ストレスがかかる状況での「ストレス緩和」「睡眠の質向上」に効果があるとされる機能性表示食品。ヤクルト史上最高密度の乳酸菌 シロタ株を含んでいるのが最大の特長で、Yakult1000には100ml中1000億個、Y1000には110ml中1100億個が入っているという。
■深い眠りとスッキリした目覚め
Yakult1000は2019年10月に関東圏限定で宅配販売が始まり、2021年4月から全国展開。店頭主体のY1000は2021年10月に全国販売をスタートした。Yakult1000は2021年の4月~12月に販売数1日114万本を記録。Y1000は1日20万本の販売目標を大きく上回る注文が殺到しているといい、一部店舗では品薄が続いている。
売れまくっている大きな理由として、本当に「睡眠の質向上」を実感している人が多いという“事実”がある。何を隠そう、1カ月ほど前からY1000を飲むようになった筆者自身、睡眠に関しては驚くような効果を感じている。普段から「眠れない」「眠りが浅い」といった悩みとは一切無縁だったのにも関わらず、Y1000を飲んだ翌朝には心から「よく眠れた」と感じながらスッキリと目覚めることができるのだ。あまり大袈裟なことは書きたくないのだが、間違いなくこれは“気のせい”などではないと思う。
■高密度の「乳酸菌 シロタ株」が神経系に作用
しかし、乳酸菌飲料を飲むことでストレスが緩和されたり、睡眠の質が向上したりする理屈が正直よくわからない。高密度の乳酸菌 シロタ株が、なぜこういう効果をもたらすのか。渡邉さんに素朴な疑問をぶつけてみた。
渡邉さん「乳酸菌 シロタ株の基礎研究の中で、高菌数・高密度のシロタ株が神経系に作用するということがわかってきました。脳と腸の間には迷走神経があるのですが、乳酸菌 シロタ株がこの神経系に作用することで、ストレスがかかると高まる交感神経の活動を抑え、副交感神経とのバランスを取る可能性が明らかになってきました」
「交感神経と副交感神経のバランスは、睡眠の質に影響します。Yakult1000/Y1000が『ストレスがかかっていても交感神経の高まりを抑制する』というバランスを上手く取ってくれることで、睡眠の質が向上すると考えています」
ちなみに、これまでのヤクルト製品で最も乳酸菌 シロタ株の密度が高かったのは「ヤクルト400」。1本(80ml)当たり400億個含まれており、Yakult1000/Y1000の密度はざっとその2倍という計算だ。密度が高いほど効果が期待できるのなら、もっと密度を上げればいいのかと安易に考えてしまうが…?
渡邉さん「それは難しいですね。ヤクルト400は1999年に発売しましたが、当初から乳酸菌シロタ株をより高菌数・高密度にしようという検討はありました。しかし、ある商品に生きた菌を入れておくと酸味が強くなるんです。菌数を保ちつつ、かつ酸味を出しすぎず、“美味しい状態”を保つのはテクニックが必要。そういう意味では、Yakult1000/Y1000ほどの高菌数・高密度の実現には、ヤクルトが長年蓄積してきたノウハウが生かされていると言えます」
■ストレスと睡眠に悩むビジネスパーソンにヒット
今、SNSなどには「Yakult1000で睡眠の質が爆上がりした」という利用者の声が続々と投稿されている。渡邉さんは、「実際に効果を体感していただけていることが、ヒットにつながっているのでは」と受け止める。
「ストレスや睡眠の悩みは、非常にニーズが高いんです。私たちの研究と社会のニーズがうまく合致したと感じています」
「Yakult1000/Y1000の主なターゲットは、ビジネスパーソン。ここはヤクルト商品の購買層として、実はあまり開拓できていなかったところです。新しい機能を打ち出したことで、『そういえば子供の頃に飲んでいたな…』と懐かしい気持ちで手に取っていただき、その効果を実感することでヤクルトへの回帰が生まれている。開発者としては嬉しいですね」
■ずばり、いつ飲むのが効果的?
せっかくの機会なので、最後にふたつ、身も蓋もない質問をさせていただいた。「いわゆる睡眠薬とは何が違うのか」。そして「飲むのに適したタイミングはあるのか」。いかがでしょうか。
渡邉さん「この商品は、そもそも睡眠を促すものではありません。『眠くさせる』ものではなく、『眠りに入ったときの質を高める』というところが鍵になります。睡眠薬とは根本的に違います」
「飲むタイミングは特に限定していません。大切なのは1日1本、継続的に飲んでいただくことです。寝る前に飲んだからといって効果が高まるわけではなく、朝飲んでも昼に飲んでも問題ありません」
ヤクルトレディによる宅配商品のYakult1000は1本130円、店頭で買えるY1000は1本150円(いずれも税別)。詳しくは公式サイトで。
(まいどなニュース・黒川 裕生)