子どもたちから愛された食堂の看板犬が旅立つ 腫瘍発覚も食事療法で生気を取り戻したが…飼い主に聞いた
兵庫県尼崎市でオーガニック食糧雑貨の販売などを行っている「穀菜食堂なばな」の看板犬・サブローが先月17日に心不全で旅立ちました。15歳でした。2020年11月に直腸に腫瘍が見つかり、今年1月にはヘルニアを発症してリハビリ中でした。2月には角膜潰瘍も患いましたが、角膜の傷は徐々に改善し、ゆっくりヘルニアの治療に取り組もうと考えていたところでした。
サブローは2006年6月15日に誕生、同年9月に食堂のオーナーで飼い主の金岩日佐美さんのもとへとやってきました。多頭飼育の崩壊現場からレスキューされた保護犬でした。食堂は10年にオープン以来、特に子どもたちに人気の看板犬として、地域のお客さんを癒やし続けていました。飼い主の金岩さんにお話を伺いました。
--亡くなる前の様子はどうでしたか?
「2020年の暮れに腫瘍があるということになって、食事療法をやっていたんです。そしたら元気になってきて、若返っていくんですよね。今年に入ってヘルニアを発症して、歩くのがちょっと難しくなったんです。でも体調はいいのでリハビリしていました。リハビリもうまくいってて。だけど、ちょっと目にけがをしたりとか、でも、そっちも治ってきて、腫瘍の方もどうもなんか悪性じゃなさそうな感じだったんです。夜もよく寝るし、よく食べるし、元気でした。ヘルニアになって、リハビリしながら、お散歩にもそれまでみたいに行けなくなったので、バギーに乗せて公園に行ったりしていました。それもワンワン言いながら。すごい元気だったんです。3月15日までは毎日すごい元気な様子だったのに、16日にちょっと食欲がなくなって、17日にもう逝っちゃったんです。その2日間だけちょっとご飯が食べられないというだけで、結局、心不全だったんです。このまま長生きすると思っていました」
金岩さんは、サブローに腫瘍があると診断されたことをきっかけに、食事療法として、旬の野菜などを使った消化がよくて栄養たっぷりのスープを作り始めました。3月には「愛犬のためのスープ」として販売を開始しました。
--食事療法というのは?
「なるべく酸性にしないように、体をアルカリ性にしておくと、例えば、成人病とか腫瘍も含めて、そういうのがあっても進みにくくなったりとか。若返るんですよね。見た目もいろんな人から『サブちゃん、若返ってる』って言われていたんです。本当にキラキラなんですよ。目もすごいキラキラしていて、好奇心もすごいあって、食欲もあるし、全然老けてる感じがなくて、目も濁ってないし、本当に若かったです」
--どんなスープですか?
「基本は野菜ですね。あとはキノコとか。キノコも日に干したのを1回冷凍して、すると細胞壁が壊れて吸収がよくなるんです。そういう工夫をして入れたりとか」
--お客さんにどのように接していましたか?
「すごい穏やかなんですよ。うちは食事(の営業)をしていたときは、小さい子どもさんを連れてくるお母さんグループもまあまあ来られていて、お母さんはおしゃべりに夢中になるじゃないですか。子どもたちがサブローをいじったりしていました。なんかもうめちゃくちゃにされたりするんですよね(笑)。いろいろされるんですけど、怒らない。犬が苦手、犬が怖いっていう人でもサブローを触れるからそれで犬を触る練習をしたり。なんせ優しかったですよ」
金岩さんはサブローのリハビリ中に、ボランティアを募集。たくさんの人が来てくれたそうです。サブローが旅立ち、金岩さんのSNSには多くのメッセージが届きました。
--どれくらい寄せられましたか?
「インスタにもフェイスブックにもコメントをたくさんいただいて、お電話も。お花もいっぱい届いて、玄関の前にお菓子とかドッグフードが置いてあったり。実際に駆けつけてくれた人もいっぱいいるし、個人のアカウントの方は100件くらいのコメントがありました。お葬式のときもお花がいっぱい届いて、みんながおやつやらお弁当やらを持ってきて、一緒に入れてくれました。亡くなったあと、体が硬くならなかったんです。亡くなって30時間くらいたってたんですけど、ずっと柔らかくて、本当に寝てるみたい。お棺に入れるんですけど、ふにゃってなるからみんなで支えて入れてあげました。本当に死んでいるって感じがしなくて、不思議ですよね。亡くなるときも、すーって感じでした」
金岩さんは4月7日、SNSに「サブローの姿が見えないのは寂しいですが、これからも一緒に居られると信じて、また週末から『愛犬のためのスープ』ご用意したいと思っております」とつづりました。
(まいどなニュース特約・N.Ritsu)