災害時の「避難所生活のために」猫用ハーネスは必要? 購入した飼い主さんに聞いた

先月16日夜、東北から関東にかけて起きた大きな地震。宮城県や福島県で震度6強が観測されました。関東でも震度4くらいの揺れがあり、もし避難する際には飼い猫2匹を連れていくためにハーネスを準備しておかなければと危機感を募らせたという東京都内に住むカイヌシさん(Instagram:@princess_of_curry)。

さっそく、2匹分のハーネスを購入して装着させてみたといいます。飼われている猫は、ハナちゃん(5歳・雌)とサブジくん(4歳・雄)の2匹。災害時などにハーネスを準備しておくことの重要性や、実際に装着を試したときのハナちゃんやサブジくんたちの様子などをカイヌシさんに聞きました。

■ハーネスの装着に慣れていれば、避難所にいても外に出してあげられる

--3月16日夜の東北から関東にかけての大きな地震をきっかけに猫用ハーネスを購入したとのこと。購入しようと思われたのは?

「動物と暮らしていますので、避難所用のポータブルケージとハーネスを買わなきゃいけないと思いつつ、5年経っていました。先日の地震を契機に、ペット用品店をのぞいたところ、リュックサックやポータブルケージ、ポータブルトイレ、ポータブル水飲みカップ、猫用の水、ハーネスのセットなど災害グッズが軒並み売り切れていて…きちんと備えておかないとまずいぞ、と決心し、まずはポータブルケージとハーネスを購入しました」

--カイヌシさんが購入したハーネスはどんなタイプですか?

「首から胸部分を布で支えるベストタイプのハーネスです。首と胴を紐で固定するタイプは選択肢にありませんでした。痛そうな印象もあり、脱臼が怖いのと、ホールドが弱い気がしたからです」

--ベストタイプのハーネスはしっかりホールドできそうですね。また実際ハーネスの装着を試したとのこと。ハナちゃんやサブジくんたちの様子はいかがでしたか。

「装着したときは案の定嫌がり、歩けなくなってコロコロ転がっていたり、怒ってソファの下から出てこなくなったりしました。でも、『おやつ食べようぜー』って誘うと、不思議なことにヨチヨチ歩いて寄ってきました。そんなふうに短い時間の装着から試みたんです。我が家は習慣的におやつを与えていないので、効果てきめん。頑張ったときはおやつのご褒美があります。おやつ、ってワードも覚えていますので、きゃー!と小躍りする姿がかわいかったです」

--おやつで釣りながらの装着練習…その特訓の成果は?

「今ではすっかり慣れて、ハーネス着けたまま昼寝しています(笑)。あと、おやつ付きってことを学習したので、パブロフの犬状態です。気を付けることは、嫌がったら数分間経ってから再び装着してみるというのを繰り返しました」

--地震が起きた際、避難所生活などを余儀なくされた際に猫用のハーネスの準備は必要不可欠であることは、東日本大震災のときに明らかになったと言われています。カイヌシさんがお考えになる災害時における猫用ハーネスの重要性をお聞かせください。

「災害用のポータブルケージは思った以上に小さなものでした。避難所で使用するのだから当たり前ですが、それでも2匹をそこに閉じ込めておくのは心苦しいものです。ハーネスの装着に慣れてさえいれば、避難所となる建物の屋外などに出してあげることが可能です。車で移動するときなども、ハーネスさえ着けていれば息抜きにバッグの外に出してあげることができます。ハーネスの購入は、同行避難時にペットの生活もどう維持していくか考えるきっかけになりました」

--ハーネスの他に猫用の防災グッズを備えていらっしゃいますか? 

「ポータブルケージと半年分のフードのみです。避難所に猫は入れないであろうことは分かっていたので、テントでも購入しようかと思っていました」

ーーペットと同行避難できる所は多くないと聞いていますが、カイヌシさんの住む自治体ではどうですか?

「調べたところ、私の居住地域でも、避難所の居住スペースにペットを同行することはできません。幸い、避難所の一角で飼育スペースが運営されることが分かりました。飼い主たちが共同で運営するのですが、行政がそこまで考えてくれているのはありがたいなと思いました。

とはいえ、提供していただけるのは場所のみで、ポータブルケージもフードも水飲みカップも、全て飼い主負担です。市町村のホームページには、やむを得ずペットを置いて避難しなければならないとき、あるいはペットを捜すため被災現場に戻らない、といった避難所のことやペットについて詳しく記されています。読むと胸が苦しくなるような内容もありますが、目を通すことができて本当によかったと思いました。災害時にハーネスは100%必要になります。ハーネスには飼い主の電話番号が刻印された迷子札も装着しました。ただ、これらが役に立つ日がこないことを願うばかりです」

   ◇   ◇

災害時に備えて、避難所などではぐれないように、また周囲の方に迷惑を掛けないように、しっかりと猫ちゃんを離さないリードを準備そして装着の練習をしておくことをお勧めします。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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