「いじめではなく犯罪、人権侵害だ」 旭川の女子中学生凍死、第三者委の中間報告を夜回り先生が疑問視

 昨年3月23日、北海道旭川市内に住む当時14歳の中学2年生だった女子生徒が同市内の公園で凍死した姿で発見され、その2年以上前からいじめに遭っていた疑いがあるとされた問題で、調査してきた第三者委員会が「いじめとして取り上げる事実があった」と認定し、遺族側に報告したことを明らかにした。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は、亡くなった女子中学生に行なわれた行為は「『いじめ』と称する犯罪行為や人権侵害だった」と指摘し、「いじめ」という言葉で事態を矮小化していると批判した。

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 2021年3月、旭川市でいじめを受けていた女子生徒が凍死しました。彼女が受けていたいじめと称する悲惨な行為は、ここに書くことができないほど凄惨なものです。当初は、この事件の背景に、いじめがあったことを否定し続けてきた旭川市教育委員会も、この問題が報道され、国会でまで重大な事件として扱われるようになったことで、第三者委員会を設置し、調査することとなりました。そして、今年3月27日に、その中間報告が公表され、6項目についていじめを認定しました。

 私は、この事件について、最初の報道以来、関係者への聞き取りや取材を通してずっと関わってきました。その私が、この第三者委員会の中間報告の内容を見て、がく然としました。亡くなった女子中学生に対して、いじめと称して行われた行為には、法に触れる、つまり犯罪として扱われなければならないことがたくさんあります。また、人権侵害として扱わなくてはならないこともたくさんあります。第三者委員会は、これらの行為をすべて「いじめ」という言葉でひとくくりしています。これは、許される事なのでしょうか。

 本来、「第三者委員会」が、きちんとこの問題の解決を図るつもりならば、犯罪に当たる行為は、犯罪として認定し、警察及び、児童相談所にそれを報告し、加害児童生徒の処遇に関して一任すべきですし、人権侵害に当たる行為は、法務省の人権擁護局に通報し、人権侵害事案としてその処遇を一任すべきです。

 旭川市の教育委員会が設置した第三者委員会だから、あくまで教育現場での事案なので、すべての加害児童生徒の行為を「いじめ」という概念で捉える。これに何の意味があるのでしょう。私は、あえて詳しい内容については書きませんでした。いやとてもひど過ぎる内容で、ここに書くこと自体が、亡くなった女子生徒に対して申し訳なく書けません。それほどのことを、単に「いじめ」として扱う第三者委員会。私は、許すことができません。こんなことをしていれば、「いじめ」と称する犯罪や人権侵害は、なくなりません。

 加害児童生徒たちも、きちんと自分のしてしまった行為が、どれほどのものか、きちんと理解し、反省し、償うことが必要です。それも、教育委員会にできないことです。しかし、すべてを明らかにし、その罪をきちんと現行の少年法や人権侵害に対する法のなかで償わせることが必要ではないでしょうか。これら加害児童生徒の家庭環境や生育歴、そこまで調査し、その子どもたちの更生を図らなくてはならないのではないでしょうか。

 学校や教育委員会の対応の問題点は、次の報告を待つしかありませんか、旭川市教育委員会および第三者委員会は、他機関との連携を含め、再度自らが行っていることが、いかに、この問題に対する対応として不十分なものか認識して欲しいと思います。これでは、何の解決にもなりません。

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