旭川の中2女子凍死で「いじめ」認定も…退職の校長らは処分対象外 「公の場でケジメを」小川泰平氏が訴え
昨年3月23日、北海道旭川市内に住む当時14歳の中学2年生だった廣瀬爽彩(さあや)さんが同市内の公園で凍死した姿で発見され、事実関係を調査してきた第三者委員会が「いじめの事実があった」と認定した6項目を公表したことを受け、同市教委は当時対応した中学校や市教委の教職員の懲戒処分を検討する方針を明らかにした。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は27日、当サイトの取材に対し、「当時の中学校校長ら退職した関係者は処分の対象外」という認識が示されたことを問題視し、教育者として本来あるべき姿を問うた。
小川氏は「第三者委では(1)『いじめの有無』、(2)『(被害者が)死亡に至った過程』、(3)『学校と市教委の対応』、(4)『再発防止策』の4点について調査するとしています。今回、(1)の『いじめの有無』については、やっと認定した上で6項目を出してきた。一定の評価はできるが、ウッペツ川の件(※2019年6月22日、被害者が加害者側とみられる複数人の未成年者に囲まれ、この川に飛び込んで警察が出動した)などについては触れていない。この6項目で終わりなのか?まだまだ他にあるはずです。そして、(2)から(4)までの報告は6月までといいながら、8月末まで2カ月も延びた。これまで何にもやっていなかったのか」と疑問を呈した。
続いて、同氏は「(2)の『死亡に至った過程』を解明するのは、(1)の『いじめの有無』の調査に比べて時間を要すると思われます。(3)の『学校と市教委の対応』において、懲戒の対象になるのは、市教委と、教頭や担任教諭らになるでしょう。教頭に関しては『1人(の被害者)より(加害者)10人の未来が大切…』と被害者の母親に言ったと報じられている。担任教諭は、女子生徒の相談に来た母親に『デートがあるから明日にしてください』と伝えたという話がある。それが事実であるなら大変なことですよ。だが、『懲戒』と言っても懲戒免職から戒告まで何段階かあり、2011年に当時中学2年の男子生徒が自殺した滋賀県大津市の事件で、担任教諭は減給10分の1(1カ月)の懲戒処分で終わっています。最も軽い戒告は注意されるだけ。減給は下から2番目に軽い処分で、月給の1割カットでした。数万円を1回減らされて終わりです」と付け加えた。
その上で、小川氏は、廣瀬さんが通っていた当時の旭川市立中学校の校長に対して「元校長は退職者として処分の対象外ということで、このまま何も語らずに逃げるのか、公の場に出てきて謝罪をし、献花台に行くなど、謝罪と説明責任は必要だと思われます。ケジメを付ける行動について、自分の胸に手を当てて考えて欲しい」と訴えた。
さらに、第三者委の姿勢にも苦言を呈した。
小川氏は「調査の中間報告会見で、第三者委の委員長は記者の質問に対して明らかに笑っていた。『緊張のあまり…』という方もいるが、これまで場数を踏んだ経験豊富な著名な弁護士とうかがっています。この場(会見)がどのような場か承知していたはずです。仮に緊張していたとしても、絶対に見せてはいけない態度である。亡くなった女子中学生の命の重さをどこまで考えているのか。ことの重大さを軽視しているとしか思えない。信じられない会見でした。委員長は『心身の苦痛を感じているからこそ、いじめとして認定した』と説明する一方、『(いじめが)どの程度かまでは判断しかねる。認定した理由は説明できない』と、回答にも矛盾だらけであり、とても第三者委員会の陣頭指揮を取っていたとは言い難い姿であった。本当の真相を究明していただきたい」と呼びかけた。