昭和世代にズキュン!「お花の角砂糖」今でも入手できるのか? 老舗に聞いた「関東で飛ぶように売れました」
先日ふと、子どもの頃に特別なときだけ母親が出してくれた、お花の飾りのついた角砂糖のことを思い出しました。結婚式の引き出物か何かでいただいた紙箱のふたを開けると、白い角砂糖の上に色とりどりの小花がトッピングされ、幼心にもときめきました。母親にせがんで紅茶を入れてもらい、表面に小花が浮く様子をうっとりと眺めた記憶があります。現在でも入手可能なのでしょうか。
■1970年代には流通「関東で飛ぶように売れた」
調べてみると、駒平キウブ商事(本社、愛知県名古屋市中区)に行き着きました。同社は江戸時代の1744(延亨元)年創業の砂糖商。古くから紅白餅や鯛を砂糖でかたどった商品を手がけ、慶弔用砂糖というジャンルを作った老舗です。
同社社長の第十代目加藤平兵衞さんに話を聞きました。
商品名は「プチシュクル」。正確な発売日の記録は残っていませんでしたが、今から50年前にはすでに流通していました。当時の商品写真を見ると、お花の飾りとともに、誕生や結婚、入学などのメッセージや名入れのサービスも行っており、慶弔品や贈答品として重宝されていたことが分かります。
「当時の役員が趣味でシュガークラフトをやっており、当時の社長がそれに目を付け、砂糖の上に描いたのが始まりです。価格は発売当初より一貫して500円、1000円で販売していました。砂糖にしては高価な商品でしたが、関東地区で試験販売したところ、飛ぶように売れたため、全国の工場で製造をするようになりました」
昭和50年ごろにはデパートでも大々的に陳列され、ご進物の定番商品となりました。しかし、時代とともに砂糖以外のギフトが登場し、ダイエットブームも起こり「砂糖が売れなくなり、2017年12月に終売とさせていただきました」。
■現代に合わせ、大きな贈答品→カジュアルギフトへ
残念ながら「プチシュクル」はもう入手できませんでしたが、同社の形成技術は新たな商品に生かされていました。デザインシュガー「物語のある砂糖」です。
「時代の移り変わりにより砂糖が使われる用途が変わってきました。弊社でも百貨店で買う大きな贈答品ではなく、ごあいさつや手土産といったカジュアルギフトにターゲットを変えました。そこで『現代に合ったかわいらしいものを作ろう』と考案しました。半手製でさまざまな形状や色を表現しました」
猫の肉球や音符、クローバーなどのファンシー系から、鍵や歯車、化石といったマニアックなものまで約50種近い形がラインナップされています。
発売から4年経ち、新商品も続々と登場。最近ではある芸能人が自宅用に購入したことをインタビューの中で紹介したことから、SNSなどでも話題になりました。Twitter上の反応を見ると「物語のある砂糖、お土産で喜ばれた」「センスある」「かわいくて使えない」「猫の肉球、愛らしい」「価格が手頃」など、評判も上々です。同社では今後も「砂糖が持つ可能性を追求し、砂糖の新しい価値を創造し続けたい」としています。
「物語のある砂糖」は同社ネットショップなどで販売中。1袋281円(税込)~。
(まいどなニュース・金井 かおる)