希少な和種馬が妊娠! 道産子「のぞみ」ちゃん、今月末に出産か 関係者「驚きました」
北海道の大草原から大阪府柏原市の牧場に”トラバーユ”した道産子の「のぞみ」(牝4歳)が妊娠していることが確実視され、関係者を驚かせている。乗馬施設「和種馬ホースランド大阪」開設に備え、調教を開始したばかり。出産すれば、しばらく産休に入るが、希少な和種馬の2世誕生は喜ばしい限り。無事に出産することを心から願う。
5月29日はサラブレッドの頂点を決める日本ダービー。決戦ムードが高まる中、ポニーの世界では驚きの事実が発覚した。何と、年明けに地元の牧場を旅立った北海道和種馬(通称・道産子)の「のぞみ」ちゃんのお腹が膨らみ、身ごもっていることが明らかになったのだ。
柏原市の石川河川敷近くに和種馬を使った日本武芸と乗馬やふれあいの施設「和種馬ホースランド大阪」開設を計画し、その準備に入っている代表の横山雅始さんは「いやぁ、参りましたというか、驚きました。しかし、うれしいことでもあるんですよ。のぞみはお乳も膨らみ、お腹も大きくなっている。獣医さんに尋ねると妊娠している可能性が濃厚なことが分かり、早ければ今月末にも生まれるとのことです」と話す。
まさかの展開。事の流れはこうだ。のぞみちゃんはつばき君(牡3歳)とともに、昨年末まで北海道帯広市の郊外にある牧場で70頭の仲間たちとのんびり暮らしていた。大自然の中、昼夜放牧の自由な生活。おそらく、このときにのぞみちゃんの身にハプニングが起こっていたのだろう。
「4歳ぐらいだと妊娠、出産可能とのことですから」
その後は横山代表らが牧場を視察。「おとなしそうな馬を2頭」という要望に応え、仲のいい2頭が選ばれ、大阪で働くことになった。その前に三重県の「鈴鹿ホースパーク」で調教と馴致のお勉強。4月には鈴鹿で三重国体の代替事業として開催された「とこわか馬術競技大会」にお出かけし、ふれあいコーナーに初参加。ちびっ子たちの人気者となった。
5月に入ると、いよいよ柏原市雁多尾畑の和種馬ホースランド準備室にあたるNPO法人「ホースウォーム」へ。本格的なトレーニングに入ろうとしたところで”異変”が明らかになる。鈴鹿にいたころからチラホラとささやかれていたのぞみちゃんの妊娠説。ここへ来て、複数の獣医が大いに可能性ありのお墨付きを出したという。
折しも22、23日には柏原市役所前でロハスのイベントがあり、明石乗馬協会のエースでもある与那国馬のココ(牡15歳)が乗馬体験にひと役買っていた。ゴールデンウイーク期間中にはネスタリゾートに駆り出されるなどの人気者。とても賢く、お手やお座りもできる。
イベント終了後には、のぞみとつばきのいる牧場を訪問。国内に8種類しかおらず、絶滅危機が伝えられる和種馬の中で北の道産子と南の与那国馬が大阪で合流するという”夢の共演”も実現した。
もちろん、無事に出産すれば、新しい命は世にも珍しい大阪産の道産子となる。今後、和種馬ホースランド大阪準備室では「名前を募集することも視野に入れているそうだが、まずは無事に生まれてきてほしい」と切に願っている。
サラブレッドの中にも、あのディープインパクトの母で妊娠中にG1レースを勝ったウインドインハーヘアのような例がある。のぞみちゃんもしばらくはトレーニングを続けて行くことになるが今後は「体調次第ですが、産休に入るのでは」とのことだった。まずは無事に出産することを願うばかりだ。ただ、当ののぞみちゃんはやきもきする周囲を知ってか知らずか、食欲旺盛でお昼寝することが増えているという。
(まいどなニュース特約・山本 智行)