雨の日も風の日も、自宅の庭に1年以上通い続けた野良猫を保護 いまでは先住の犬猫と仲良く生活

■庭に遊びに来ていた猫、雨風を怖がるように

力丸くん(4歳・オス)は、2017年3月、埼玉県に住む黒田さん宅の庭に現れるようになった。当時、黒田さんは同じように母猫と一緒に遊びに来ていた3匹の子猫を母猫が姿を見せなくなったので保護しようとしていた。しかし、流石に一度に4匹は保護できない、胸が痛んだがあきらめたという。

力丸くんは1年以上もの間、天候に関わらず毎日遊びに来た。ある時、数日来ない日があったので心配したが、さくら猫になって戻ってきた。

「後にご近所の方がTNRしてくれたと知りました。でも、その年は台風の当たり年で、次々台風が来て、激しい台風の日を境に力丸は雨や風を怖がるようになりました」

黒田さんは、雨や雷の予報を見るたびに、パニックになって事故に遭わないかと心配した。季節外れの台風がやってくる前日、夫が「そんなに心配なら保護したら」と言ったのを機に、長い間の迷いが振り切れ保護に踏み切ったという。

2019年10月、黒田さんは力丸くんを抱っこして保護、家族になった。

■誰よりも大きな声で要求鳴き

当時、大型犬2匹、猫4匹を飼っていた黒田さん。「外での生活が長かった力丸がみんなに馴染めるかどうか心配でした。私が犬や猫のケアを十分できるのかという不安もありました。でも、力丸は自分が新参者であると自分の立場を分かっていました」

力丸くんはみんなと適切な距離を保ちながら、喧嘩をすることもなく、次第に同じ部屋でくつろぐようになったという。

外猫時代の力丸くんは蚊の鳴くようなか細い声で鳴く猫だった。しかし、家猫になってから、寂しい時やお腹が空いた時、誰よりも大きな声で鳴くようになった。

「早朝に起こされる時は少し迷惑ですが、寝室の前で訴える姿は可愛くもあります」

■猫は学びを与えてくれる

黒田さんは、もともと結果を急ぎたいせっかちなタイプだった。しかし、5匹の猫と暮らしてみると、それぞれ全く性格も人馴れする早さも違っていた。

「猫たちを見ていると、『焦らず、いずれそのうちに』という気持ちになれたんです。猫は癒しであると同時に、学びを与えてくれる存在です」

黒田さんは、庭に出入りする猫を見るにみかねて、図らずも5匹の猫を保護して飼うことになった。そして、初めて地域で暮らす猫が抱える様々な問題について知ったという。

「難しい問題ですが、せめて外で暮らす猫たちが、地域猫として一代限りの寿命を全うできるようにと願っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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