コロナ禍で低下…気になる子どもたちの体力 「すぐ疲れたと言うように」「以前よりよく転ぶ」

温度や湿度が高まる初夏を迎え、教育現場での熱中症が相次いでいます。先日も大阪の中高一貫校で体育大会中に生徒ら30人が搬送されたとの報道がありました。要因として指摘されているのが、コロナ禍による生活様式の変化が招いた、子どもたちの体力や運動能力の低下です。

スポーツ庁がこのほど発表した、全国の小中学生を対象とする2021年度の『全国体力・運動能力・運動習慣等調査』によると、2019年度の前回調査に比べて、小中男女ともに体力合計点が大きく下がっていたといいます。

同調査は2021年4~7月、国公私立の小学5年・中学2年の約200万人を対象に実施。質問紙で生活習慣について聞いたほか、実技テストとして、握力や50m走、ソフトボール投げなど8種目が行われました。

実技テストは小中学生男女ともに「長座体前屈」は向上傾向にある一方で、「上体起こし」「反復横とび」「20mシャトルラン」「持久走」について大きく低下したといいます。

体力合計点が低下した主な背景としては、2019年度から指摘されている、運動時間の減少や学習以外のスクリーンタイムの増加などに加え、コロナ禍にともない学校活動が制限され、体育の授業以外での体力向上の取り組みが減少したことも要因として挙げられています。

さらに、「新型コロナウイルスの影響前(2020年3月以前)と現在とを比較して、あなたの運動(体を動かす遊びを含む)やスポーツへの取組はどのように変化しましたか?」という質問に対し、「運動する時間が減った」と回答している男子児童は41.5%、女子児童は39.0%でした。終わりの見えないコロナ禍の中で、児童・生徒の運動習慣の向上をどう目指すかが課題になっていくでしょう。

   ◇   ◇

子どもの運動不足は、筆者の周りでも課題になっています。友人との間でも「我が子の運動不足による体力の低下を感じる」という話題が上がります。

ほんの数時間の散歩や近所の公園への移動、徒歩15分程度のスーパーへの買い物でも、子どもたちがすぐに「疲れた」「自転車で行こうよ」と言うようになりました。コロナ以前は、歩いたり走ったりすることが大好きだった子どもたちが、最近ではすぐに疲れを訴えてくるようになったのです。

運動能力の低下が原因なのか、以前よりよく転ぶようにもなったほか、運動しないときにはあまりお腹が空かないのか、ご飯をよく残していたといいます。

友人は、学級閉鎖などで登校できない時期に、自宅にいる時間が増えた我が子が退屈にならないようにと、テレビゲームやタブレットのゲームアプリなどを買い与えたそうです。その結果、ゲームのやり過ぎで生活習慣が乱れたり、スクリーンタイムの制限や管理をしなければならなくなったので「逆にやることが増えて大変になった」と言っていました。

体力が下がった状態では、暑さが増していくこれからの季節、体がついていかないことも心配になります。熱中症への対策なども重要になってくるでしょう。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)

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