「鮎が下克上してて笑ったw」シュールすぎる和菓子が話題に…なぜ商品化?製造元に聞くと「きっかけは大河ドラマ」
「プレゼントでもらった鮎のお菓子、想像以上に鮎が下克上してて笑ったwwwめっちゃ可愛い」
ゆん子(@myunrenmaru)さんの投稿がツイッターで話題を呼んでいます。投稿には2枚の写真が添えられており、「下剋上鮎」と書かれた箱と、鮎にしっぽを食べられる鵜を模した焼き菓子が。なんともシュールな表情と構図に、ツイッターでは「お仕事のゲン担ぎに買おうかしら」「うっ!って言ってそう 鵜だけに」「がっつりかじりついてるのw」と7.9万いいねがつくほど話題となりました。
販売しているのは岐阜県岐阜市に本社を置く和菓子店「玉井屋本舗」。岐阜といえば、鵜を操って鮎を獲る伝統的な漁法・鵜飼で有名なので、それをモチーフにしているのでしょうか。投稿者のゆん子さん、「下剋上鮎」を製造・販売する「玉井屋本舗」(岐阜県岐阜市)の担当者にお話を聞きました。
■投稿者「鵜の表情に笑ってしまいました」
ーー「下剋上鮎」は岐阜のお土産で?
「誕生日プレゼントに友達から頂きました。遠方に住む学生時代からの友人で、私がインコを飼っていることから毎年、鳥に関連したものをチョイスしてくれているようです」
ーー中身を見たときの感想は?
「最初はウナギパイのような鮎を使ったお菓子なのかな~と思って開封したんですが、一つ一つ厳重に梱包されているし、開封したら鮎に下剋上される鵜の表情に笑ってしまいました。
通常のクッキーより硬めで歯ごたえがあり、黒糖の風味も抹茶の風味もしっかりあっておいしかったです!和三盆の優しい甘味がすきなので、鮎と鵜で味が違うのも良かったです。
パッケージに明智光秀・・・といった記載があって、歴史オタクの私にとってはそこもポイント高かったです(笑)」
ーー大きな反響となりました。
「全部のリプライを追えてないのですが、大学の先輩がこの下剋上鮎の関係者だった、というリプライには人との縁を感じました!みなさん笑った、とかこれ買いたい!といった明るいリプライが多くて楽しかったです」
■なぜ下剋上?製造元に聞いた
そもそもこの「下剋上鮎」はどんな経緯で誕生したのでしょうか。また、どういったタイミングで贈るべきのか…。プロデューサーの白木さんに話を聞きました。
ーー「下剋上鮎」誕生の経緯を教えてください。
「同商品は2019年12月13日に発売しました。きっかけとしては、2020年にNHK大河ドラマ『麒麟がくる』が放送されることを受けてです。
というのも、『麒麟がくる』は明智光秀の生涯を描いた作品で、彼は生まれも育ちも岐阜なんです。ロケ地として岐阜が見込まれていたことから、玉井屋本舗のお店がある岐阜県の川原町で各事業者が動いていました。そこで、玉井屋本舗でも2018年の末ごろからこれに合わせた新商品をと考えだしたのがきっかけです」
ーーでも「下剋上鮎」に明智光秀の要素はないような…?
「最初は玉井屋本舗の看板商品・登り鮎、お饅頭、どらやきに明智の家紋を焼き付けたものを考えていたのですが、ありきたりではという話になり。そこで、4つのエッセンスで新たな案を考えていました。
1つは、110年ほどの歴史を持つ玉井屋本舗がずっと看板商品として掲げてきた鮎をモチーフにしたお菓子であること。
2つ目は、当時元号が令和に変わるタイミングだったので『何か新しいことを!』ということ。
3つ目は玉井屋本舗の本店が長良川沿いにあり、そこで1000年以上続く鵜飼の要素を取り入れること。
最後は、戦国時代の岐阜には明智光秀や織田信長がおり、下剋上が当たり前かつホットなエリアだったので下剋上要素を盛り込みました。
また、若い方の和菓子離れも課題として考えていたので、興味を持ってもらえるもの、賞味期限が長めのものがよいのではと考え、今の形に至りました」
ーー攻めたビジュアルですが、社内検討はスムーズに?
「スムーズとはいきませんでした(笑) というのも、細かい造形で割れやすくクレームにつながるのでは、馴染みのお客様からどういう印象を持たれるか、などいろいろ声が上がりました。最終的には、若い世代の方にも玉井屋本舗を知ってもらうべく、発売が決まりましたね。
実は作るのもかなり苦労しまして、鵜と鮎は別の生地を熱圧着でくっつけて1枚にしているのですが、最初は同じ生地だったので一体化してしまって鮎に噛まれる鵜を表現するのがなかなか難しかったです」
ーー買ってほしいタイミングは。またどんなお菓子ですか。
「受験や告白など勝負シーン、スポーツなどのゲン担ぎで買っていただくことが多いです。ほかは単純に見た目がかわいいからというお客様もいらっしゃいます。
和菓子のジャンルで言うと焼き菓子です。クッキーやビスケットとはまた違った、噛めば噛むほど上品な甘さを感じていただけると思います。京都の(生でない)八つ橋のような感じというと分かりやすいでしょうか」
ーー人気のほどはいかがですか。
「発売してから2年半ほどですが、看板商品の登り鮎に続き、2番人気に定着しつつあります。購入していただけるのは、ご年配の方・岐阜県内のが多かったのですが、SNSをきっかけに広いエリアかつ若い世代の方に手に取っていただけるようになりました」
ーー今回の反響を受けて感想を聞かせてください。
「年に数回、こうしてSNSユーザーの方が話題にしてくださることがあります。お客様に商品を楽しんでいただけて、こちらもお店の名前を知ってもらえるのがSNS時代の魅力だなと感じますし、とてもうれしいです。
こうして岐阜県内だけでなく広く名前を知ってもらうことは、110年の歴史のなかでなかったことなのでありがたい限りです。今後も玉井屋本舗の商品を楽しんでいただければ幸いです」
◇ ◇
「下剋上鮎」は玉井屋本舗の通販サイトほか実店舗にて販売中です(価格:702円~)。
ちなみに、玉井屋本舗では同じシリーズで「下剋上竜」も販売しているそう。白木さん曰く「下剋上鮎」同様にゲン担ぎの応援和菓子で、「ジャイアントキリングの要素を込めています」とのこと。
モチーフとなっているのは、岐阜と同じ東海地方の愛知県に本拠地を置く中日ドラゴンズで、青いドラゴンがトラやウサギ、コイ、ツバメ、スターに食らいつくユニークなお菓子です。なかにはドラゴンズの過去の輝かしい試合を記録した「下剋上試合カード」(全5種・ランダム封入)も1枚入っており、ドラゴンズファン必見の和菓子ですよ。
(まいどなニュース・門倉 早希)