家中を走り回る可愛い姿に「最期まで必ず見守る」と決意…迎えた子猫も16歳に 「ただそこにいてくれるだけでいい」

アピちゃん(16歳・メス)は、デパートの特設会場で催されていた譲渡会に出ていた。神奈川県に住む佐藤さんは、その譲渡会でアピちゃんと出会った。

佐藤さんは、2006年7月4日、19歳の先代猫を老衰で亡くした。その後、犬を飼いたいと考えていたが、具体的には何も決まらないままだった。8月中旬、お母さんと一緒にたまたま地元のデパートに立ち寄り、譲渡会をのぞいてみたという。アピちゃんを保護していたのは、湘南愛護動物病院と連携して地域猫活動をしている団体だった。

会場を訪れる人は少なく、里親の決まっていない子が6、7匹残っていた。佐藤さんはお母さんと話し合い、1匹引き取る決心をした。

「雌猫しか飼ったことがなかったので、なんとなく雌猫にしようと思ったんです」

茶トラの姉妹と三毛猫が1匹いると言われたが、茶トラの姉妹は怖がってケージから出てこなかった。「この子はどう?」と見せられたのが三毛猫のアピちゃんだった。

「お世辞にも顔の模様が可愛いとは言えなくて、でも、大人しくて膝の上でゴロゴロ喉を鳴らしていました。性格のいい猫なのかなと思って、アピを譲渡してもらうことにしたのです。その足で連れて帰りました」

■久しぶりの子猫に感動

アビちゃんは緊張して1週間くらいビクビクしていたが、次第に慣れてくると家中を走り回った。佐藤さんは19年ぶりに子猫を飼ったが、「子猫って可愛いな」と思い、日々感動した。同時に、「今は子猫だけど、寿命を全うするまで必ず見守りたい」と強く思ったという。

奔放に行動するのはいいが、困ったことは一つ。アビちゃんはゴミ箱を漁ったり、ビニール袋をかじったりして誤飲したこともあった。佐藤さんは、猫が開けられない蓋付きのゴミ箱に変えるなど対策を施した。

「猫の行動に注意し、人間が生活の仕方を見直しました。猫と暮らすには工夫が必要です」

■一時はどうなることかと思ったけれど

その後、佐藤さんは数匹の猫を保護して飼った。佐藤さんにとって猫は、ただそこにいてくれるだけで癒される存在なのだという。

「見た目が良くなくても、性格に難があっても、それらは猫の魅力に何ら影響を与えるものではなく、猫ってそれくらい素敵だと思っています」

アビちゃんは腎不全を患い、月に一度通院している。2021年の夏は4キロあった体重が2.7キロにまで落ち込み、一時はどうなることかと思ったそうだ。佐藤さんは、とにかく食べてもらおうと試行錯誤した。2022年5月、体重は3.5kgまで増え、状態は落ち着いている。

「急に悪くなるかもしれないし、悪くなったらあっという間に亡くなることもあります。どのような最期であっても、少しでも楽に過ごせるよう見守りたいと思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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