バスタオルが臭い→捨てるのはちょっと待って! 100均商品を使って解決 タオルメーカーに対応法を聞いた
洗濯したはずのバスタオルが臭い! 何度洗ってもイヤなにおいが取れず、体を拭くのに抵抗が…。なんてことありませんか。今年は異例の梅雨明けの早さで多くの地域でもう明けましたが、例年この時期は雨が続き、部屋干しがタオルの嫌な臭いを加速させます。
だからといって捨てるのは少々お待ちを。タオルの臭いはお家で改善できるんです。日本有数のタオル名産地である愛媛・今治市に本社を構えるタオルメーカー「IKEUCHI ORGANIC」のタオルソムリエ・阿部さんに、タオルの臭いの原因や対策について聞きました。
■バスタオルを使った直後がネック!
ーーそもそも、なぜタオルは臭くなるのでしょうか。
「モラクセラ菌が繁殖することが原因です。洗濯では菌を取り切れず、繊維の奥の方に隠れています。一時的に臭いが取れたとしても、濡れたときに臭いが復活するのはこの菌のせいです」
ーーなぜ梅雨の時期はより臭くなるんですか。
「使ってから(洗って)干すまでのあいだが高温多湿になるからです。モラクセラ菌は空気対流が無くて高温・高湿度の場所(ちょうど今みたいな気温・湿度)が大好きなので、そういう時間が長ければ長いほど繁殖してしまうんです」
ーーでは、解決策は?
「タオルを使ってから洗って干すまでの時間をいかに短くするかが大切で、使った後は広げて干しておくのがベターです。濡れたままクシャクシャにしているのが一番良くないですね、洗濯機に入れたままにするのも同様です。特に槽内は空気対流もありませんので」
ーー洗い方や干し方ではなく、使った直後の扱いが大事とは。見落としていました。
「使った後、放置している環境と時間次第では、カビの予備軍が発生してしまうこともあるんですよ…。雨の時は干し方も重要で、可能であれば乾燥だけコインランドリーを使うのも手です。部屋干しだと乾燥が遅く菌の増殖に繋がるので、扇風機かサーキュレーターで空気を動かすと良いですね。浴室乾燥は換気扇部分にカビが生えている場合、密室でその空気を循環させることになるので、それなら空気を動かして部屋に干す方がいいかもしれません」
■一度付いた臭いを取るには?
ーーでは、既に臭いがついてしまったタオルはどうすれば?
「一度ついてしまった臭いは、菌がいる限り復活します。最初にお答えした通り、取れたように思えてもまた臭うのはタオルの繊維の奥にいるからなんです。
菌を根絶やしにするには煮洗い、これが一番効果的です。ただフェイスタオルならこれでいいのですが、バスタオルだと大きさ的に煮沸させるのが難しいと思うので、酸素系漂白剤を使って洗うのが良いと思います」
ーー酸素系漂白剤ですか。
「酸素系漂白剤は過炭酸ナトリウムともいい、漂白・除菌・消臭などに効果があります。最近では100円ショップでも見かけますよ。大体顆粒の状態で売っているのでお湯で溶いて、タオルが入る大きさのバケツで1時間ほど浸けてからよくすすいで洗濯してください。洗う時はほかの衣類などとは一緒にせず、これだけで洗濯してくださいね。
また、化学物質過敏の方にはオススメできませんが、逆性石けんも有効です。別名・塩化ベンザルコニウムといって、殺菌剤なんです。ドラッグストアではレジの後ろの棚に置いてあると思いますよ。水で希釈し、30分ほど浸けてからよくすすいで洗濯すれば臭いはほぼ取れます。カビの予備軍までいってしまった場合、このやり方が特に有効ですね。
ただ、逆性石けんだけだと汚れは取れません。逆性石けんで菌の動きを鈍くする→すすぐ→酸素系漂白剤に浸けおき、これで汚れもとれるかと」
ーー普段の洗濯で気を付ける点はありますか?
「洗剤の量を控えることとすすぎの回数を1回多くすることです。よく洗おうとして洗剤を多く入れるのは逆効果。というのも、洗剤の量が多いとすすぎきれず、洗剤の残りカスが繊維に残って臭いの原因に繋がります。洗剤の量と洗浄力は比例しないので…」
■タオルを捨てるタイミングはいつ?
ーーではタオルを捨てるタイミングは?
「実は、タオルの風合いはお手入れ次第である程度は戻るんです。なので捨てるタイミングとしては生地が薄くなり、光にかざして向こうが透けて見えるようなら替えどきです。
ちなみに、タオルがゴワゴワと硬くなるのは、洗剤の残りカスなど堆積物が悪さをしているから。その場合は先ほどの洗い方を試してもらえれば改善できるかと。あと、柔軟剤を使うと滑って水をはじいてしまうので、風合いを考えると良くないですね」
◇ ◇
記者は個人的に洗い方と干し方が大切だと思っていたので、使ったあとの扱い方がネックになるとは目から鱗でした。
使うのを諦めていたタオルでも、扱い方次第でふんわりいい香りによみがえるかもしれません。タオルの臭いでお悩みの方は試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、阿部さんが紹介してくれた酸素系漂白剤を100円ショップで探してみたところ、記者が行った店舗では洗濯グッズのコーナーに置いてありました(取り扱いや売り場はお店により異なります)。酸素系漂白剤、逆性石けんともに、製品ごとの使用上の注意を守ったうえで使ってくださいね。
(まいどなニュース・門倉 早希)