住みたい自治体関西版 5年連続1位の兵庫県西宮市 市長に理由を直撃取材した

 リクルートが今年発表した「SUUMO 住みたい街ランキング2022関西版」で兵庫県西宮市は、2018年から「住みたい自治体ランキング」で堂々5年連続1位に立っている。この3月末、再選を果たした西宮市の石井登志郎市長(51)に西宮の魅力と今後について、取材した。

■自然豊かで交通の便がよく居心地のよさが魅力!

 西宮市はリクルートの「SUUMO 住みたい街ランキング2022 関西版」の「住みたい自治体ランキング」で2018年から5年連続1位に輝いている。これは奇しくも石井市長の在任期間、つまり初当選した2018年に1位となり、在任中、さらに再選を果たした2022年もトップを守り続けたことになる。

 2期目に入った際に「ここからが本当の市長。トップギアを上げる」と決意を語った石井市長にとって、この4年間は大きな節目となる。なにしろ、2023年には文教住宅都市宣言から60年、平和非核都市宣言から40年、環境学習都市宣言から20年。2025年には市制100周年を迎えるからだ。

 まずは西宮の魅力とは。市長は、こう話してくれた。

 「私自身、住んでみて、居心地がいいというのが実感ですね。治安がよく、肩肘張らないで自然体で日々過ごせるところがいい。便利さも魅力で、交通網が整備されていて、大阪や神戸には適度な距離にあり、便利。農地もいい感じで残されていて、自然環境を守っていくという市民の気風のおかげで、街が自然とうまく調和されていて、街路樹などの手入れもしっかりなされているのも居心地の良さにつながっています」

 市長がおすすめする西宮の名所、自慢の風景、観光スポットを挙げてもらうと、こんな答えが返って来た。

 自然を満喫できる「JR福知山線廃線敷ハイキング」

 高低差約60メートルの「名塩の斜行エレベーター」

 日本の原風景「船坂の里山」

 迫力満点の「山陽新幹線記念公園」

 桜の名所「夙川公園」

 江戸時代から現役の「今津灯台」

 日本書記にも登場する「廣田神社」

 えべっさんの福男選びでも知られる「西宮神社」

 高校野球の聖地「阪神甲子園球場」

 西日本最大級の「新西宮ヨットハーバー」

 蛍の生息地「有馬川緑道」などなど。

 語り尽くせないほど、西宮はおすすめの場所も多いようだ。

■市民たちが選んだ「文教住宅都市」への道

 阪神間に位置し、大阪や神戸に近いにもかかわらず、豊かな自然が残されているのには理由もあった。それは「経済成長が著しい時代に、子どもたちにこの環境を残そうと多数の市民が反対して、コンビナートを誘致しない道を選んだことが大きい」と石井市長は分析する。

 さかのぼること1960年、西宮市がコンビナート誘致を打ち出したが、住民や酒造会社などを中心として反対運動が起きたといい、西宮市民は豊かな自然とそれに育まれた地場産業や文化を維持する道を選択したのだ。

 1963年には「文教住宅都市宣言」を行い、今後の市政運営がこの理念に基づいて強く推進されるものであるとした。来年2023年には文教住宅都市宣言から60年を迎えるのだが、快適な生活環境を求めて移り住む人が多いのは「当時の人たちの選択が決して間違っていなかったからに他なりません」と、石井市長は言う。

■環境問題も考えて新駅誘致 障がいのある方にも優しい街づくり

 いいものは残しつつ、進化も忘れない。2021年9月には兵庫県と西宮市、尼崎市、阪急電鉄は阪急神戸本線武庫之荘~西宮北口間に新駅を設置する構想の具体化で合意。市長は「歩いて駅に行ける街がいい。交通が便利な街は車に乗らない街であり、人とふれあう機会もできてくる。歩くことで健康維持につながり、車に乗る機会が減れば環境問題にもプラスになる」ととらえている。

 また、西宮市は市全体で障がいのある方にも暮らしやすい街づくりを打ち出してきた。その一環として、鳥取県が打ち出した「あいサポート運動」(障がいのある方のサポーター)の協定を19年10月に鳥取県と締結。「西宮市においても多くの人に、あいサポーターになっていただき、その輪を広げていくことにも取り組んできました」と言う。

■「市民が主役」の街づくりを目指す石井市長

 西宮が住みたい街として常に人気があることについて、あらためて「住環境が評価されているからだと思います」と石井市長は語る。その住環境を守るには「行政のやれることは限られています。西宮市民は現在、約49万人います。その皆さんの協力は欠かせません」とも話した。

 2025年には市制100周年を迎える西宮市。「西宮の100周年というのは単に100年経ったということではなく、将来に向けて生き方、考え方、価値観。こういうものが、次の100年につながるようにしていきたいと思います」と、力強く語っていただいた石井市長。この分なら今後も「住みたい自治体1位」の座は譲りそうにない。

(まいどなニュース特約・八木 純子)

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