「本人と全然違う!」…選挙ポスター「顔写真の加工しすぎ」に小5児童が物申す 「自分のかわいさを気にしてるような人は…」
兵庫県内在住の読者から6月末、まいどなニュース編集部にこんなメールが届きました。
「小学5年の子どもが学校で選挙の勉強をしています。帰宅するなり、『通学路に張ってるポスターの写真、本人と全然違うな。ポスターの写真で自分をよく見せようと加工する人は、政治でも嘘をつくだろうな』と言ってきて。うまく答えられませんでした」
確かに選挙ポスターに写る候補者の顔写真は、素人目にも「最高の一枚」が選ばれているのが分かります。選挙ポスター専用の写真撮影サービスや制作会社などもあり、それらのホームページには「明るさ」「清潔」「若さ」「目力」などの文字が踊り、「お顔の補正もていねいにいたします」「ベストショットが撮れるまで数百カット撮影」などのセールスポイントが並びます。
Twitter上で選挙ポスターに対する反応を調べると「選挙ポスターと本人顔違う」「加工し過ぎ」「ゴリゴリに加工されてる」「盛ってる」「誰?ってのある」「別人」「毛穴とかヒゲとか加工大変そう」「加工とか補正やめてほしい」「ほどほどにして」「選挙ポスターの加工、なんでOKなんだろ」などの投稿がありました。
■選挙のプロが回答「法律上、問題ありません」
公職選挙法には、ポスターの枚数やサイズ、掲示場所などに関する決まりはありますが、顔写真の加工や補正を禁止する項目は見当たりませんでした。
選挙コンサルティング会社「ジャッグジャパン株式会社」(本社、東京都渋谷区)の代表、大濱崎卓真さんによると、候補者の顔写真の加工は「法律上、問題ありません」。「選挙ポスターの記載内容については、『掲載してはいけない事項』がありません。また、例えば本人の写真ではなく、イラストであっても問題ありません。撮影時期にも制限がありませんので、例えば50年前の写真でも法律上は問題ありません」。
加工のメリットとしては、「本人の見た目をよりよく見せることができ、高齢であることを弱める効果などが考えられます」とする一方、「(加工前後で)候補者本人との差が著しければ、批判を浴びることもあるかもしれません」と注意を促しました。
冒頭の小学生の疑問を大濱崎さんに伝えたところ、次のようなコメントを寄せてくれました。
「自らの容姿(顔や服装を含む見た目全般)をよく見せようと考えることは、至極当然のことではないでしょうか。例えばゲームセンターには『プリクラ』がありますが、撮影した写真は強くデフォルメ加工されると思います。その加工された自分のプリクラ写真を見て『嘘をついた』と罪悪感を持つ人はどれだけいるでしょうか。また、写真加工といっても『撮影時の照明や角度』『服装(極端な話、衣装はレンタルでもいいのか)』『撮影時期』など広義にとらえることもできると思います。加工を制限するとなると、『どこまでが加工なのか』という線引きが必要になりますが、これは難しいと考えます」
■小学生「自分のかわいさを気にしてるような人は…」
今回の疑問を抱いた小学5年生に選挙ポスターの印象を尋ねると、「きれいな顔の写真を見て投票して、その人が当選して活躍してる姿を見たら…見た目のいい写真とは違う姿を見せられたら、相手には申し訳ないけれど『違うやん』とショックを受けると思う」と率直な感想を口にした上で、「だから(ポスターでは)普段通りの、いつもの姿を見せてほしい。その方が後味悪くないです。『まじで日本変えたい!』って思うなら、自分のかわいさを気にしてるような人は心配になる。本気で国を変えたいならそこに集中してくれる人にお願いしたい」と真剣な面持ちで語りました。一緒にいた小学1年生という弟も無邪気に声を上げました。
「ほんまの顔見せてくれ! 次会ったときにわからへんやん!」
(まいどなニュース・金井 かおる)