「2022年が半分終わってしまった…」神戸市広報がパンダのアテレコ画像を投稿、共感集まる「元気だして」「まだ半分あるで」
背中を丸めたパンダさんの写真に「2022年が今日で半分終わってしまうことに戸惑いを隠せないタンタンさん。」とアテレコしたツイートを「神戸市広報」の公式アカウント(@kobekoho)が先月末に投稿、共感が集まりました。写真にアテレコした経緯を、神戸市広報戦略部で「神戸市広報」公式Twitterアカウントを担当している中村 紀彦さんにお聞きしました。
旦旦(タンタン)さんは王子動物園(神戸市灘区)の人気者で、今秋27歳になるメスのジャイアントパンダです。中国への返還が本年末に控えているタンタンさん。写真に写る、丸々としたフォルムと愛嬌のある横顔が本当に時の流れの速さにため息をついているようで、シンパシーを感じた人たちから「はぁぁぁ、もう半年過ぎたのねぇ。。。」「タンタンさんのまんまるな猫背かわゆい…元気だして」「ドンマイ まだ半分あるで」などとたくさんのエールが届きました。
タンタンさんに切なくも可愛らしいアテレコをした中村さん。ツイートにどんな思いをこめたのかを語ってもらいました。
■「いまタンタンさんが神戸にいる喜びを共有したい」「みなさんのコメントはタンタンさんに夢中」
--とてもユーモアあふれるツイートです。どうしてタンタンさんにアテレコしようと思いましたか?
なぜ王子動物園のジャイアントパンダ・タンタンさんの写真にアテレコしたのか…という質問の回答は難しいです(笑)。そこにまんまる背中で座るタンタンさんがいるから、「見て見て見て!」という気持ちになりました。いまタンタンさんが神戸にいる喜びを素朴に共有したいんです。
--その思いが拡散しましたね。
神戸市広報のTwitterは、重要な市政情報だけでなく、不要不急な情報だけどだれかの記憶にとどまる投稿を続けています。そもそも行政が「1年の半分過ぎちゃいましたね」と言ってもだれも興味ないし、知ったところでどうにもならない。でもタンタンさんに同じメッセージを託したとき、想像以上に共感の種を蒔けます。
ーーまず気づいてもらうことが大事だと。
「すぐに役立たない」情報をおもしろおかしく届けることで共感を呼び、それが見る人にとって市政への関心を高める最初の接点にもなりうるからです。この考え方は「KOBEうわさプロジェクト」にも通じるかもしれません。
--「KOBEうわさプロジェクト」は以前、記事にも書かせていただきました。「北区と大阪市の面積はほぼ同じらしいよ」などと、市営地下鉄の列車のドアなどにふきだしと共に書いてあると、ついつい読んでしまいます。
「本質的な情報」=「神戸市の伝えたいこと」を言う前に、「本質的ではない情報」を充実させることは大切だと考えています。
--アテレコしたツイートに、共感のコメントが届いています。
たいへんありがたいです。みなさんのコメント、タンタンさんに夢中ですよね。神戸市広報Twitterの投稿を通じて、アカウント同士がつながっている。それってすごいことだと思います。夜景、動物、パン、歴史的な建造物などなど…神戸市には市民のみなさんの愛情が詰まったものがたくさんあります。それらに愛着を持って育てていくようなコミュニティを創り出すのも、神戸市広報Twitterの役割だと思っています。
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今回のツイートについて「いつも通りの締めの写真投稿をした感覚で、特別なことはしていません。神戸市広報は、『役立つ』『すぐに役立たない』情報や楽しい写真などを日々織り交ぜて発信しています」といい、さらに「朝の『おはよう』写真投稿、市政情報のお知らせが終わったときに『本日のお知らせは以上です。』とつぶやくルーティン、そして締めの写真投稿などの工夫は、ほかの行政アカウントが恐らく持っていない特徴だと思います。
それで、少しでも市政に関心を持ってくれる人ができたり、神戸市のファンを増やすことができたりすれば良いなと思っています」と日々のツイートにこめる気持ちを語る中村さん。これからも、実用性というただその一点だけで情報を取捨選択するのではなく、皆の心に寄り添う、あたたかく楽しいツイートの投稿を期待したいですね。
(まいどなニュース特約・山本 明)