深夜の植え込み、無我夢中で保護した子猫 先住猫と相性も「何かの縁」…お家に迎えた「癒やしのアイドル」
めろちゃんは、2021年6月20日、岡山県に住むTさんに保護された。Tさんは、深夜、交通量の多い道路のそばで子猫の鳴き声を聞いた。しかし、あたりは暗がり。携帯の充電はあと30%ほどしかなく、灯りは携帯の懐中電灯しかなかった。
子猫はずっと鳴いているわけではないので、時々声が途切れてしまう。Tさんは耳を澄ませて、植え込みの中にいた黒い子猫を見つけた。手を伸ばすと届きそうになるが子猫が避けてしまった。反対側に回って再び手を伸ばすが、また避けられた。
「無我夢中でした。あともう少しで届きそうなのに届かず、1時間くらいかかったのですが、やっと手で掴むことができました」
■これは縁なのか
Tさんは子猫を連れて帰ったが、家には2匹の猫・とろろちゃんとぽんずちゃんがいた。2匹はめろちゃんを見て怒ったが、翌日には落ち着き、気になるようでケージ越しに様子を見に行ったり、匂いを嗅いでみたりした。
Tさんは子供の時から猫アレルギーがあったが、2匹までなら大丈夫だった。3匹となると分からない。また、部屋の広さを考えても3匹飼うのは難しかった。職場の同僚が保護施設のボランティアをしていたので、里親を探すために協力してもらい、里親が見つかるまではTさんが預かることになった。
めろちゃんは、不安だったのかよく鳴いた。Tさんは、自分自身も興奮しているせいか、しばらくよく眠れなかったという。
2週間後、猫白血病やエイズの検査のために再度病院へ行き、里親探しのための書類を書いてもらっている時に、「2週間過ごすと情がうつりますね。本当は自分が飼えたらいいんですけど」と獣医に言うと、「先住猫との相性はどうなの?」と聞かれた。「まだケージ越しにしか対面していませんが、悪くはなさそうです」と言うと、「深夜に保護したのも、先住猫ちゃんとの相性が悪くないのも縁だよ」と言われた。
Tさんは保護施設のボランティアをしている友人にも相談して、めろちゃんを迎えるかどうか考えた。「最終的には、この縁を大切にしようと思い、お迎えすることにしました」
■実家のアイドル
めろちゃんの検査結果が陰性だったので、ケージから出して対面させると、とろろちゃんはすぐに受け入れた。ただ、ぽんずちゃんはちょっとシャーと威嚇したり逃げたりしたが、気になって様子を見に行ったり、近づいたりした。2日ほどでぽんずちゃんも慣れた。
今では3匹仲良く、たっぷり遊んで、食べて、眠る。Tさんは、そんな姿を見ると癒されるという。
Tさんは、めろちゃんが小さい時、近くの実家にも協力してもらって世話をした。めろちゃんはTさんの実家の家族にたくさん遊んでもらい、のんびり過ごしていた。家族も猫が大好きで、めろちゃんがいることで、一家団欒の時間が楽しそうだった。その様子を見てTさんも嬉しくなったので、めろちゃんは実家で暮らすようになったという。Tさんは、帰宅前に実家に寄ってめろちゃんに会っている。実家の家族は、「こっちが本宅だよね!」とめろちゃんを可愛がっているそうだ。
「めろは家族を笑顔にしてくれます。あらゆる縁について改めて考えさせられました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)