スイカの種を飲み込むと「おへそから芽が出るよ」って本当?プロに聞いた 種が取りやすい切り方も人気
「スイカの種を飲み込むとおへそから芽が出るよ」。子どもの頃、スイカの種を上手に取り除けずに面倒がっていると、まわりの大人たちからこんなふうにちゃかされました。迷信だとうすうす気付いていても少しおびえていた記憶もあります。
インターネット上にも「おばあちゃんにおへそから芽が生えるって言われてた」「お腹の中でスイカが育つと信じてた」「口からスイカが生えるって言われた」など、種にまつわる思い出話が多数投稿されています。そもそもスイカの種は体に悪いのでしょうか。スイカのプロに話を聞きました。
■プロに聞く「スイカの種を食べたら体に悪い?」
スイカとメロン専門の老舗種苗会社「萩原(はぎはら)農場」(本社、奈良県磯城郡田原本町)の担当者に話を聞きました。
──子どもの頃、「スイカの種を飲み込むとおへそから芽が出る」と言われました。
「毎年、小学生が社会見学に来られるのですが、大体この質問がきます」
──おへそから芽が出ることはない?
「発芽には温度、水、酸素が必要不可欠です。体内では酸素が供給されないため発芽することはありません。また、発芽までには条件がそろったとして5日程かかります。その間にほぼほぼ排泄されてしまうでしょう」
──スイカの種を食べたら体に悪いのでしょうか?
「体に悪いということはありません。種を取り除く理由としては、かんでしまった時の食感や苦みではないでしょうか。種の成分にビタミンE、葉酸、タンパク質、リノール酸、オレイン酸などが含まれています。健康にはむしろいいような成分です。ただ、これらの成分を体内に取り入れようと思うと、種をかんで殻を破る必要があります」
同社担当者によると、中国などでは種を食べるための品種もあるそうです。調べてみると食用のスイカの種は通常のスイカの種よりも大ぶりなのが特徴。しょうゆで味付けしたものは「西瓜子」などと呼ばれ、おつまみやお茶うけとして商品化されています。
「おへそから芽が出る」は迷信や言い伝えの類いということが分かりホッとしました。
■種なしや種の小さな品種も登場
最近、スーパーの店頭でも見かけることが増えた種なしや種が小さな品種についても教えてもらいました。
──種なしや種が気にならない品種を見かけるようになりました。
「『種が気になる』という消費者の要望から生み出されたものです。まず種なしスイカですが、取り組み自体は昭和10年頃より始まっているそうです。味が伴わなかったり、かなり晩成になってしまったりでなかなか広がりは見せていません。弊社では2012年に食味にこだわった『ひとつだね』シリーズを発表しました。現在は千葉県富里市などで栽培されています。種なしスイカは栽培が非常に難しく、熟練の技術が必要な作物というのが現状です」
──それで種が気にならない品種が生まれた?
「栽培面の容易化を図ったのが、種が小さいスイカです。普通のスイカの栽培とほぼ同じ方法で栽培できるので安心して栽培できます。弊社では3年ほど前より『ナノシード』シリーズとして、種の小さいスイカ品種を発表しています。『ぷちっと』は国内最小サイズの種を持つスイカ、『ひとりじめナノ』はまく時の種は大きく、出来上がる果実の種は小さいという画期的な小玉スイカです」
■「スイカの種が取りやすい切り方」動画が話題
時短家事アドバイザーで著書「自分を休ませる家事」(KADOKAWA)でも知られる「満月」さんは昨年、自身のインスタグラムに動画「スイカの種が取りやすい切り方」を投稿。大きな反響があったため、今年もスイカのシーズンに合わせて公開しました。
満月さんが公開した切り方は、スイカの種の列がカットした表面に並び、種の位置が一目瞭然になるというもの。見える範囲の種を一気に取り除くだけで、果肉の中の方には取り残しがほぼなくなるというから驚きます。満月さんによると、まず初めに「スイカの黒いシマ模様と垂直に2分の1にカットする点」がポイント。詳しい手順は満月さんの動画を参考にしてみてください。
▽「満月」さんインスタグラム(@mangetsu_kun)
(まいどなニュース・金井 かおる)