動物愛護センターから殺処分寸前に救い出された子猫 里親宅で対照的な性格の先住猫との新たなニャン生がスタート

■「畑にいた」と動物愛護センターに持ち込まれた子猫たち

めんまちゃん(1歳・メス)は、山口県の動物愛護センターに兄弟姉妹と一緒に持ち込まれた。「畑にいた」と連れてこられたそうだ。まだ目も開いていない乳飲児たち。規則では、翌日には殺処分されるところだった。

めんまちゃんたちをセンターから引き出したのは、保護団体ディ・アンク。2018年6月から夫婦で保護活動を始め、最初はセンターで殺処分される命を救うつもりだったという。

「でも、愛護団体ができたという話が広まると同時に保護依頼が殺到しました。団体といっても基本、私達夫婦での活動だったため、市民からの子猫相談で手一杯になり、活動を始めて一度もセンターに収容される幼猫たちを救うことはできないでいました。それで、2020年4月から市民相談と市民からの保護をストップ。センターに収容され、その日のうちに殺処分される幼猫たちを救うことに切り替えたのです」

めんまたち4つ子は、ディ・アンクがセンターから救った初めての幼猫達だった。センターに向かう車中、Facebookでミルクボランティアを募集した。センターの駐車場に着くと、以前猫を譲渡した人が名乗り出てくれた。ミルクボランティアは未経験だったが、「絶対に生かしてみせる」という熱意に満ちていた。

■もう1匹猫を飼おう

ミルクボランティアに育てられた4匹は、里親を募集した。2匹はすぐに引き取り先が決まったそうだ。山口県に住む佐藤さんは、らんまるちゃんという茶トラの猫を保護して飼っていた。それまでは「犬派」だった佐藤さんは以来、すっかり猫の魅力にはまり、Youtubeで猫の動画を鑑賞するのも楽しみにしていた。2匹目を迎えるつもりはなかったが、ある日、長女に譲渡サイトに掲載されていた子猫の画像を見せられた。その子がめんまちゃんともう1匹の兄弟だったという。佐藤さんは、2匹ならなんとか飼えるかもしれないと思った。

2020年6月下旬。佐藤さんはめんまちゃんともう1匹の子猫を家に連れてきてもらった。

「2匹は飼えないから1匹選びました。娘と目が合ってビビッときたと言うので、めんまにしたんです」

■対照的な性格の2匹、相性はピッタリ

初日は、らんまるちゃんと部屋を分けた。翌日、らんまるちゃんがめんまちゃんのことを気にしてちょろちょろし始めたので、ケージ越しに会わせてみたという。めんまちゃんは早速「シャーシャー」と威嚇した。それでもらんまるちゃんがじわりじわりと近づくと、2匹は鼻で挨拶をした。

「一緒にキャットタワーで遊び始めたんです。らんまるはめんまを優先するように下で見守っていました。最初から長時間会わせるのもよくないと思い、翌日また会わせて、だんだん時間を長くしていきました」

らんまるちゃんはめんまちゃんの行動をいつも見ていて、後をついていった。グルーミングもしてあげて、可愛くて仕方ないようだった。

佐藤さんは1週間のトライアル後、めんまちゃんを迎えた。らんまるちゃんはおっとりしているが、めんまちゃんは激しい性格。佐藤さんが買い物から帰ってくると、「何買ってきたの、何、何、何~?」とビニル袋の中を覗く。らんまるちゃんは叱られると拗ねるが、めんまちゃんはケロッとしているという。佐藤さんは、対照的だから相性がいいのかもしれないと思っている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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