老舗風俗ビルにカオスな食堂街が登場 ネオンの灯がともる昭和の路地裏を演出
大阪・京橋駅の東側は昔ながらの商店街と風俗街が入り乱れるディープスポット。大正時代頃から大阪市東部の玄関口として人口が集積し、戦後の混乱を経てキタやミナミとは一味違う独特の場末感を持った街として発展。今も真昼間から酔っ払いとお姉さん目当ての人々が闊歩し、なんとも言えないカオスな空気を醸し出している。
しかしそんな京橋の街にも少しずつ時代の変化が訪れているようだ。なんとこの度、風俗ビルの象徴的な存在だった「サンピアザビル」の6階がワンフロアすべて「京橋S6横丁」として飲食スポットにリニューアルするというのだ。
あの魔窟に飲食スポットとはいったい…オープン前日の7月20日、筆者は潜入取材した。
サンピアザビルには今も数々の風俗店が入居している。いちいち挙げないが、見るだけでなんだかニヤニヤしてしまう個性的なネーミング揃いだ。
なんとなく緊張感のある1階ホールからエレベーターに乗って6階で降りると、雰囲気はがらりと変わる。多少の妖しさは引きずっているのだが、健全な雰囲気で「昭和の路地裏」というコンセプト通りネオンの灯に照らされて個性さまざまな飲食店がひしめいている。
鉄板焼き、寿司、居酒屋、バー、立ち飲み、焼肉…大衆店から高級店まで飲食店のありとあらゆるバリエーションが揃い、グルメを自称する筆者としてはワクワク。Instagram的な映える感じもある。最近は大阪市内でも複数の飲食店が一同に会する「大人版フードコート」のような施設が増えたが、比べるとここ「京橋S6横丁」はほどよいローカル感、カオス感があっていい感じ。
各テナントに聞く限りでは、大きなチェーンの出店はほとんどなく、ここへの出店が1店舗目というお店も少なくない。アルバイトスタッフももちろんいるが、夜の街のお兄さん、お姉さんやガチの料理人といった感じのキャラクターも多い。このシステム化されていない個性たちが独特の魅力につながっているのだろうか。
取材時点では一般のお客が入っていない段階なので、これらの各店で実際に日々どんな酒宴が催されるのかイメージしきれなかった。しかしこのスポットの存在はこれまでディープ一辺倒だった京橋の東側に、ライトな若者が集まる大きなきっかけになりそうだと感じた。
サンピアザビルは今後もリニューアルを重ね、2023年には地下1・2階にも屋台が並ぶ飲食エリアをオープン予定とのこと。この企画が京橋の街にほどよい化学反応をもたらすことを期待したい。
サンピアザビル
所在地:大阪府大阪市都島区東野田町3丁目10-19
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)