劣化して無人だった集合住宅→リノベーションで大変身したら満室に まるで「おもちゃ箱」のように楽しいデザイン
細い路地を入ったところにある、人目に付きにくい鉄骨造の小ぶりな集合住宅。錆びた鉄骨の階段が目立つ建物は老朽化が進み、長らく住む人がいない建物でしたが、アイデアあふれる「外観のリノベーション」で生まれ変わったといいます。デザインのコンセプトは、ずばり「ひっくり返したおもちゃ箱」。衝撃のビフォーアフターをご紹介します。
リノベーションに取り組んだのは、東京と大阪に拠点を持つデザイン会社・インターデザイン。建物の外観のうち、特に建物の「顔」でもある「エントランス部分」を重点的に変える「外リノ」という取り組みを行っています。注目の建物について解説してもらいました。
■「いろんなもの」がごちゃごちゃに放置された建物でしたが…
今回ご紹介するのは、東京都・文京区にある集合住宅です。わたしたちが取り組む外観リノベーションの中でも初期のデザインですが、リノベーションの目的にあわせて、シンプルに考えを表現できた事例のひとつです。
すべて空室状態だった古い建物を取得されたオーナーの依頼は、若者に向けたデザインで、建物のイメージを一新させたいというものでした。
現地で確認する実際の建物は、築年数の割りに劣化が進み、いかにも長らく居住者が不在だったことをうかがわせます。この物件を購入されたオーナーの「先見性と勇気」に正直驚きを感じたものです。
狭い路地に建物を囲う窮屈なブロック塀、大きな鉄骨階段に、極めつけは通路をふさぎそうな勢いの古い受水槽。すでに使用は停止していますが、撤去には大きなコストがかかってしまいます。
こんなに「いろんなもの」がごちゃごちゃに放置された建物の外観ではありますが、眺めているとなんだか楽しそうにも見えてきます。きっと見せ方を変えると、魅力的で面白い建物になるんだろうな…直感的にそう考えがまとまりました。
そしてわたしたちは感じたままに提案しました。デザインのテーマは「ひっくり返したおもちゃ箱」。建物すべてのカタチを受け入れ、意味を持たしていくことにしました。
錆びた鉄骨階段とブロックの塀は懐かしいブリキの箱のように。ブリキの箱にはアメリカ製のおもちゃのような、派手で大きな商品名があしらわれます。今回は館銘板として、建物の名前をデザインすることにしました。
各住戸の扉には、はみ出すように描かれた元気なルームナンバーが踊ります。階段を上がり下りが少し楽しくなるかも知れません。
そしてこの「おもちゃ箱」のような集合住宅で、最も象徴的なキャラクターは、エントランスの物陰から入居者を楽しくお出迎えする真っ赤なロボット・ロボコンです。撤去しきれなかった受水槽をそのままマスコットとして再生し、薄暗かった空間を賑やかで明るい雰囲気に再生できました。
工事が無事終えてからほどなく、建物は入居者で埋まりましたので、先見あるオーナーの目的は達成されたことになります。
今回の「おもちゃ箱」のようなデザインに見るように、入居者が楽しく幸せに暮らせる、ニーズに見合うデザインを、模索してゆくことが外観リノベーションの魅力です。その結果が、建物の活用や、地域の活性化につながればいいと考えています。
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▽株式会社インターデザイン
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