子どもの前で「夫婦げんか」する派?しない派? 見かけた子どもの“心の内”は…成長にあわせたフォローも必要
「犬も食わぬ」と言われるのが夫婦げんかですが、みなさん子どもの前ではどうしていますか? つい、本気で本音の「夫婦バトル」を見せちゃう人もいるでしょうが、「とにかく子どもの前では取り繕う」ケンカを見せない人たちもいるようです。どちらが子育てとしては正しいのでしょうか…みなさんの思いを聞きました。
■見せていても見せていなくても、悩むところがあったりして…
【子どもの前ではケンカしない派】
▽一応、夫婦の暗黙の了解で子どもの前では激しいケンカはしません。ちょっとした言い争いならともかく、本気のケンカは見せません。4歳の下の子は感受性が豊かだし、上の子は大人の顔色を見ているような感じがあって、なんとなく夫とお互いに「子どもの前ではやめておこう」という意識が働く。でも、吐き出しきれない部分が溜まりがちで、別の意味で不健康な気もしています。(Nさん/4歳児・8歳児のママ)
▽私の両親はよくケンカをし、時には父が母をこづくような事もあって、子ども心にとてもイヤで不安に思いました。なので、子どもの前では基本的にケンカはしません。言いたいことはわりとLINEを使って伝えたりします。文字にすると冷静になれるので、口で言い合うよりいいのかなと思ったりしてます。(Sさん/1歳児・6歳児のママ)
【子どもの前でもケンカする派】
結局は他人同士。ケンカするのが当たり前。それで仲直りして、お互いに譲り合うとか、わかり合う姿を見せるのが大事だと、まあ、ちょっとこじつけだけど思ってます。(Tさん/3歳児のママ)
腹にためないというのは悪い事じゃないと思ってます。だから、カッとしたらスグ言い合う。でも、ある時子どもがシクシク泣くので理由を聞いたら「昨日みたいにケンカしないでね、ママ」と言われた…。私も夫も一種のプレイ状態でケンカしてる所もあるけど、これほど子どもを不安にさせていたのか、と大反省しました。だからといって、見えないところでケンカするのが正しいとも思わない。難しいところですね。(Mさん/5歳児・7歳児のママ)
■夫婦ケンカ…いったい子どもはどう感じてるのか?
ウチの夫婦げんかは「水面下で冷たく続く」パターンで、「やり合い」はしないが、「普通に話しているように見えて、視線を合わさず、相手の言葉に無言の相づちしか打たない」といった、態度に思いっきり出るようなケンカをしてきました。
そんな様子を見ていた息子はどう思ったのでしょう。長男はすでに成人ですから飲んだついでに、聞いてみました。話をまとめてみると、幼かった頃はママとパパを仲良くさせなくちゃと思ったり、単純に「なんなんだろう」と不思議に思ったり、けっこう毎回違う反応を持っていたようなのです。ところが、私が聞いた中でちょっと引っかかったのが
「もしこのまま離婚したら」
と一晩中考えてた事があるという「ひと言」でした。長男が小学校3~4年生くらいの頃です。
当時仲良かった子のウチが離婚して、その子にお前にだけ教えるけど「オレんち離婚するんだよ」と話をされたのだそうです(ちなみに当時、そんな話を子ども達がしていたとは全く知りませんでした…!)。子どもの話なので、ある種の想像や妄想も加わり、あるいはその子なりに一生懸命に「親の離婚」を納得しようと思ったのかもしれず、非常にリアルで子ども心に「なんとかしてあげなくちゃ」と思ったそうです。
離婚という文字がこの年齢の時に非常に大きなショックを与えたのですね。そこへもって、私と夫が冷戦状態に入ったものですから、「ああ、パパとママは離婚しちゃうんだ。僕はママと一緒におばあちゃんの家に行くんだ」と、想像してずっと落ち込みっぱなしになったと言うのです。
離婚は、夫婦としても子育てという意味からも、最終的には最良の選択肢になる事もあるでしょう。しかし、ともかく多感な子どもにとっては「離婚」という言葉が大きいのは事実です。小学生にもなれば、子ども同士けっこうツッコんだ話題も交わしています。子ども心にリアルな話から「けんか=離婚する」という図式を想像し、急に不安に包まれたのでしょう。
離婚に限らず、友達同士で親のケンカを「吹聴しあう」年頃というのがあるようです。今、下の子は6年生ですが、こんな事を言うのでビックリです。
「Aちゃんちね、ママがすっげーらしいよ。ケンカするとパパが出ていって何日も帰らないんだってさ~」←(いや、きっと帰ってると思いますよ、子どもの話なので盛ってるでしょうから……)
「ドア叩いても開けてあげないんだって! Bちゃん、こっそり開けてあげようとずっと部屋のドアで耳すませてるんだって」
…というコトは、我が家のケンカも「うちはさ~、ふたりとも黙っちゃってさー、不機嫌でまいるぜ~」なんて話しているのでしょうか。
でも、結局、長男は言いました。
「まぁ、そりゃニュースになるようなDVみたいのだったら別だろうけど、“フツーの夫婦げんか”なんて、またやってる、って感じになるし。中学生になったら、どうでもよくなった。自分の事に忙しくて、いちいちお袋とオヤジがどうしたなんて、気にかけてなかった」
■子どもの成長に合わせて「ちょっとしたフォロー」をしておけばいい
子どもにとっての「日々の大問題」はわんさかあって(テストでヤバい点数とったとか、親友だと思ってたあいつが仲間に入れてくれなくなったとか、今日は大嫌いなプールの授業があるとか)…そちらにどんどん心は傾いていくような気がします。
子どもが成長するにつれて、親のケンカよりもずっと影響力のある友人関係の出来事や事件が毎日あるわけです。ただし、幼い子どもは違います。2~3歳から小学校くらいまでは、やはり「親の気持ち」を常に「忖度」しています。ケンカの度合いによっては、不安定になるかもしれません。親同士で話したことのある「夫婦げんかへの対処法」をまとめると、以下のような感じでしょうか…。
▽(1)1歳~5歳くらいまで
子どもが怯えるほどのケンカをしてしまったら、「でもホントは仲良しなんだよー」とフォローをする
▽(2)小学生くらいまで
ケンカを見ていた子どもが気にしているようであれば「あ、ビックリした?」とサラリと後から気持ちを聞いてみる
▽(3)中学生以上になったら
もはや親をスルーしている子どもを巻き込むくらい、たまに派手にやってビビらせてみる!
……まぁ最後のはオマケです。
でもそんな親の姿を見ながら、子どもが「意見の違うふたりがケンカし、仲直りし、歩み寄り、あるいはあきらめる」コミュニケーションを体感していくという所もあるでしょう。一方で、見せないことで小さな子どもにむやみやたらな不安を覚えさせず、安定した心の平穏を与えるという考え方もできるでしょう。
見せても、見せなくても、子どもが理解するのは「それがウチの親だ」という曖昧でいながら大切な「家族観」ではないでしょうか。
子どものために「夫婦げんかをしない・する」という選択肢の問題ではないように思います。喧嘩をするのもしないのも、その夫婦にとって「自然なこと」であれば、そのままでいいのではないでしょうか。
まぁ正直なところ、カッときて夫婦げんかになった時、子どもの事まで気が回らないのも事実。「ママ、パパ、ケンカやめて!」そんな風に言われたら、思わず親もハッとする。そんな日常の風景は、どこの家にもあることかもしれません。
(まいどなニュース/BRAVA編集部)