スゴ技連発するチームワーク抜群のホッキョクグマが「賢すぎ」と話題 北海道の動物園で繁殖目指すカップル

「カランコロン」「バッシャーン」

2頭のホッキョクグマが小気味良い音を響かせながら、人間界で言うサッカーにもバスケットボールにも見える球技に熱中する姿が話題になりました。1頭が赤い球を蹴ったり放り上げたりすると、もう1頭が追いかけてプールにダイブ。「すごい!」「…うそ!?」「えっ、いま何した??」と戸惑い混じりの歓声を上げる観客にはドヤ顔で応えています。

ここは北海道の釧路市動物園。ホッキョクグマがおもちゃで器用に遊ぶ姿は、動物園によく行く人なら見慣れた光景ではありますが、こんなに息ぴったりの連携プレーを見せるとは。同園に確認すると、「これは珍しい!」ときっぱり。詳しく取材しました。 

同園のホッキョクグマは2頭。繁殖シーズンだけ一緒に過ごすカップルです。1頭は、昨年のオリンピックシーズンに見せた運動能力の高さが「絶対金メダリスト入ってる!」と話題になった9歳のメス、ミルクで活発な性格。秋田県の男鹿水族館GAO(ガオ)で生まれました。オスのキロルは13歳でおっとりとした性格。札幌市円山動物園で生まれ育った双子の1頭です。ホッキョクグマ担当飼育員の大場秀幸さんに聞きました。 

-2頭の連携プレー、驚きました!

「母グマが子グマ相手に遊んでやっていることはあると思いますが、成獣になってから、このように『2頭で遊ぶ』という行動は非常に珍しいと思います」

-双子で生まれ育ったこと、母グマとよく遊んだ経験も関連が?

「確かに、子どものころに兄弟と遊んだり、母グマと遊んだりした経験が、ひょっとしたら生きているのかもしれませんね。キロルとミルクの場合、繁殖ペアと言うよりも、父親が娘と遊んであげているという感じもしますが、これもコミュニケーションのひとつと思います」

-繁殖を目指しての同居なのでしょうか。

「ホッキョクグマの繁殖シーズンは3月から6月くらいと考えられており、メスの発情兆候が分からないため同居期間を長めにとっています。同居期間の後半になり、2頭の小競り合いが頻繁に見られるようになった段階で、同居を終了しています。キロルとミルクの同居は2018年から始め、5年目の今年は3月8日から7月17日までの間、プール清掃などがある日を除き、全部で116回の同居を行いました」

-同居5年目。変化は?

「今年の同居の中では、時々キロルがミルクの気を引こうとプールの中から吠えて誘う行動や、おもちゃをミルクに持っていく行動が見られました。これは、同居5年目にして初めてのことです。去年まではミルクのほうが積極的に遊びに誘っていたのですが、今年の同居では明らかにキロルの行動に変化が見られました」

-雰囲気はだんだん良くなっている?

「同居最初の年はキロル、ミルクともお互い緊張感があり、観察している私たちも『何か事故が起こるのではないか』とドキドキしましたが、年を追うごとに2頭の関係は良くなってきています。キロルが浮き球で作った首輪を首にかけ、ミルクの気を引くために周りをウロウロする行動が連日見られたのには正直驚きました」

今年の同居期間を終え1カ月。キロル、ミルクは交代でプールのある展示場に登場。「それぞれのんびり過ごしているようです」と大場さんは目を細めます。来春からの繁殖シーズン、6年目の同居に期待が高まります。

(まいどなニュース特約・茶良野 くま子)

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