「手ぬぐいは育てるもの」って知ってた? 「ほつれ」気になるときのお手入れ方法、老舗染物店が解説

 大正7年創業の老舗、京屋染物店(岩手県一関市)は先日、公式Twitterアカウントを更新。「手ぬぐいの端が縫われていない理由をみなさんは知っていますか?」と投稿しました。同店担当者に端を縫わない3つの理由と、ほつれが気になる場合のお手入れ方法を聞きました。

■端を縫わない3つの理由

 手ぬぐいとは、模様や文字などを染め出した、長さ約90センチ幅約36センチほどの木綿の布。使い続けることでやわらかな風合いが生まれます。手拭きや汗拭き、台所用品、物を包むといった日常使いのほか、剣道や祭り、落語の小道具としても重宝されています。

 京屋染物店が挙げる手ぬぐいの端を縫わない理由は、(1)乾きが早い(2)衛生的(3)応急処置の3つ。

 担当者によると、端を縫うと縫った部分に水分がたまり乾きが遅くなり「縫わないことで乾きが早くなり、雑菌の繁殖を抑えるメリットが生まれます」。また縫わないことで生地を端から裂くことができ、ケガをした際の応急処置にも使えます。下駄や雪駄を日常使いしていた時代には切れた鼻緒がわりにもされたようです。

■ほつれた糸、切り方のコツ

 手ぬぐいを使用→洗濯→ほつれを切る。これをくり返すことでほつれは自然と止まるそうです。

 「『洗濯したらもっとほつれちゃうじゃないか』と思われる方も多いと思いますが、実は洗濯を続けると生地が落ち着き、生地端から1センチ程度でほつれは止まります。気になる間は、ほつれた糸をハサミで切りそろえてあげてください」

 切り方のコツも教えてもらいました。

 「手ぬぐいのほつれは、生地の横糸のほつれです。フリンジ部分は生地の縦糸になります。フリンジ部分を切るのではなく、ほつれてくる横糸を切って整えてください。ほつれは長くほつれる場合もございますので、ほつれた生地の横糸を、フリンジと同じ長さに切って整えるということになります。ある程度(約2ミリ~5ミリほど)のフリンジになるとほつれが落ち着きます。フリンジ部分を切ってしまうと、また横糸のほつれが発生してしまうので、おすすめいたしません」

 洗濯の仕方にもちょっとしたポイントがあり、洗濯機は使わずに大量の水での手洗いがおすすめ。基本的には洗剤も使わない方がいいそうですが、「あまりにも汚れがひどい場合は、中性洗剤など弱めの洗剤を使ってやさしく洗うのが無難です」。脱水や干し方については「水切れがいいので手でギュッと絞るだけであらかたの水分は飛びます。あとはハンガーやタオルかけなどで干してください」。

  「糸が抜ける工程を踏んで、使いやすい手ぬぐいになります。長く大切に手拭いを扱っていただき、新品の手ぬぐいには出せない『柔らかな味わいが出た価値ある手ぬぐい』に仕上げていただきたいと思います。革やデニムと同じで、手ぬぐいも育てるものなのです」(同店担当者)

■Seriaの「手ぬぐい風タオル」、豊富な柄が人気

 100円ショップ「Seria(セリア)」(本社、岐阜県大垣市)が販売する「手ぬぐい風タオル」(税込み110円)が話題です。SNSでは「セリアってかわいい手ぬぐいたくさんあるよね」「セリアでかわいい手ぬぐい見つけた」「手ぬぐいタオルかわい過ぎでは」「神みたいな手ぬぐい」などの声が上がっています。

 同社広報担当者によると、現在店頭で購入できるデザインの総数は約30アイテム(冬に向けてアイテム数が変動する可能性もあり)。神戸市内の店舗を覗くと、ネコやインコなどの動物系、線香花火やスイカ、アウトドアグッズなどの夏らしい柄、くすみカラーの無地のものなどが店頭に並んでおり、目移りするほどでした。

 同商品は、はじめから4辺が縫ってあります。同社担当者に切りっぱなしにせずに端処理した理由を尋ねると「より日常使いしていただきやすく、使い勝手を考慮し、4辺全て縫っております」。

 SNS上で同商品の使用例を調べると、特に今年は猛暑続きということもあり、保冷剤を包んで首に巻き「ひんやりグッズ」として使う人が目立ちました。他には、2枚並べてのれん代わりにしたり、趣味の人形撮影の背景にしたりなど。ほつれ処理が施されているからこその使い方がありました。

     ◇

 拭いたり、巻いたり、包んだりーー使う人の用途によって万能な手ぬぐい。お気に入りの柄を見つけて、長く育ててみてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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