「オレも入れてくれよ」真弓さんからの一言~鉄爺里山へ行く#4

 鉄人爺さん、略して鉄爺。43年の会社生活を卒業し、「暇を持て余さない老後」をコンセプトに第二の人生にチャレンジする。里山、自転車、マラソン、旅にグルメに…。

 阪神タイガース真弓明信元監督は1953年生まれの69歳。学年でふたつ上になる。

 スター選手と新米トラ番記者として出会った42年前から、ずっと「真弓さん」と呼んできた。監督時代もわざとらしく感じて「監督」とは呼ばず「真弓さん」で通した。

 逆に真弓さんからはサンテレビに移って以来「社長」と呼ばれてきた。6月14日の謝恩会の席でも同じ。お互い焼酎8割の「真弓割り」が3杯目にさしかかったころだったか、「社長、これから何をするんや?」と尋ねられた。

 答えはありのまま。「会社に通うわけではないので、時間はあります。里山の田舎暮らし、自転車でのツーリング、神戸マラソンへの再挑戦、当面そんなことを考えています」

 その話に対する真弓さんの反応には心底驚かされた。

「その里山の件、オレも入れてくれよ」

 えーっ、真弓さん酔っ払ってないですか?田んぼや畑、山に入っての作業なんて、ホントにやる気があるんですか?何度も尋ね返したが、その度に「本気や」という答えが返ってきた。

 それでも信じがたかったので理由を尋ねた。すると野球といっても自ら体を動かすわけではない現在の関わり方、趣味のゴルフといっても自分のプレー以外に熱を注ぎようのない状況、そんな中で自分自身の体のエネルギ-を持て余しているのだ…そんな内容の話だった。

 さらに転がって、田んぼや畑を買って好きなものを作ってみたいという話にもなった。

 ここに及んでその本気度への疑問符は解消された。

 後日、改めて会って話し合い、自分がやろうとしていることも説明し、里山パートナーとしてともに汗を流せないかどうか、現在模索の最中にある。お互いの方向性に少しずれている部分も見えてきて、一朝一夕に進みそうな話ではないこともわかってきた。

 それでもパートナーとしてのその存在には何とも言えない夢を感じる。いつの日か。囲炉裏を前に、ふたりで「真弓割り」を酌み交わすような日がやってくるだろうか。

▼里山活性化プロジェクト「ミチのムコウ」 https://michinomukou.org/

(まいどなニュース特約・沼田 伸彦)

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