激しく威嚇する母猫と生まれたての子猫たちを保護 少しずつ心を開いてくれて、撫でられたときには感動
■軒下で暮らす母猫と子猫たち
タロくん(オス・3ヶ月半)、ジロくん(オス・3ヶ月半)は、千葉県のとある民家の軒下で野良猫のモンちゃん(メス・3歳)が産んだ。出産から2週間ほどした時、家主が近所に住む遠藤さんに猫たちのことを相談してきたという。
「だんだん雄猫が母子の周りをうろつくようになり、天気も雨予報が続いていたので、このまま軒下にいるのは良くないという話になり、うちに避難させることにしたのです」
2021年5月21日、捕獲機を仕掛けたら、5時間ほどで母猫を捕獲できた。ご近所総出で子猫たちも保護して、すぐに全員動物病院に連れて行った。母猫のモンちゃんは獣医師を激しく威嚇したので、診療拒否されたそうだ。
遠藤さんは4匹を連れて帰ったが、先住猫がいたので、ウイルス検査が終わっていない猫を一緒にするわけにいかなかった。かといって隔離する部屋もなかったので、デッキにケージを設置して、そこで子育てをしてもらうことにした。
■母猫、激しく人を威嚇
子猫は3匹いたが、三毛の女の子はすぐに亡くなってしまった。
「守ってあげられなかったことは後悔しています。一方、モンちゃんとタロジロには元気に育って欲しいという思いが募りました」
モンちゃんは遠藤さんを見るとすぐに威嚇してきて、猫パンチを繰り出した。ただ、モンちゃんは子猫たちの面倒はよくみてくれた。
「診療拒否されるような子ですから怖かったので、菜箸の先にスプーンやフォークをつけてごはんをあげました。授乳のためにもしっかりごはんを食べて欲しいと思っていたのですが、食欲旺盛だったのでしっかり食べてくれました」
1ヶ月経った頃、モンちゃんを診てくれる動物病院を見つけ、検査をしてもらうとウイルス検査は陰性で、全員家の中に入れることができたという。
■全員、里親が決まる
家の中に入れてもしばらくモンちゃんの威嚇は治らなかったが、あの手この手と距離を縮めていくと、撫でさせてくれるようになった。
「あまり調子に乗ると猫パンチを喰らうのですが、ある日、爪を出していない猫パンチが飛んできて、肉球の感触がした時は感動しました」
そんなモンちゃんだが、子猫たちには猫パンチをされようが飛びつかれようが怒ることはなかった。子猫たちが少しでも危ないところに行こうとすると、すぐに駆けつけて見守っていたという。
「子育てを間近でみられて、すごくいい経験をさせてもらいました。一生に一度でいいから乳飲み児を育ててみたいと思っていたので、その夢を叶えてもらいました」
モンちゃんファミリーは里親さんが決まった。
「モンちゃんはTNRしようかとも思ったのですが、長毛猫なので野良として生きていくのは難しく、可愛い顔をしているので、できたら家猫にしてあげたいなと思っていました。そうしたら、先代犬の犬友さんご夫婦が引き受けてくれることになったんです」
その友人の繋がりでタロくん、ジロくんも里親が決まった。
「先代犬が繋いでくれた縁がこうして広がっていくことに感謝しかありません」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)