大阪・保険金殺人の容疑者→東京の自宅にスマホ放置、服装替えても派手…元刑事「計画が浅はか」と指摘
昨年7月、大阪府高槻市で当時54歳だった会社員高井直子さんが殺害された事件で、大阪府警は直子さんとの養子縁組届を出した際に証人を捏造したなどの有印私文書偽造・同行使の疑いなどで逮捕されていた養子の高井(旧姓松田)凜(りん)容疑者(28)を殺人容疑で再逮捕した。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は今回の再逮捕を受け、当サイトの取材に対し、凜容疑者の行動を分析した。
昨年7月26日、直子さんは自宅浴室の浴槽内で死亡している状態で、訪問した親族に発見された。司法解剖の結果、死因は溺死。直子さんに重い持病はなく、体内からアルコールや薬物が検出されなかったことや、右手首には結束バントが巻かれ、さらに左手首にもバンドを巻いて圧迫されたような跡があり、体の一部にうっ血もあった状況などから、警察では殺人事件として捜査していた。凜容疑者は直子さんに生命保険(2社で計1億5000万円)をかけ、受取人を自分にしていた。
直子さんが死亡した翌日の昨年7月23日に、直子さんの携帯電話から凜容疑者のアドレスにメール送信されていた。これは、日時を指定して事前に送信操作を行なう機能「予約送信」だったことが明らかになっており、殺害後に生存を偽装させようとしたとみられている。
小川氏は「本人にしてみれば一生懸命に考えて、後に事情を聞かれたらそれを見せようと考えていたのでしょう。本人は、色々と考えてのことだと思いますが、計画の内容があまりにも杜撰(ずさん)過ぎて、行動自体に慌てている様子が手に取るように分かる」と指摘した。
さらに、凜容疑者は、直子さんが殺害された日にスマートフォンを東京の自宅に置いて、来阪した自身の行動を隠した疑いも持たれている。スマホの位置情報を断ち切るためで、同時に服も着替えて大阪に向かったが、防犯カメラには家に入るところが映っていたことから警察に行動を把握されていた。
小川氏は「メディアのインタビューを受けて、『くろき』などと偽名を使ったり、何度も家に行ったり、どういう状態だったか心配でしょうがなかったのでしょう。“計画”はしていても、浅はかです。警察が防犯カメラで追っていたり、スマートフォンの位置情報を調べたりするのも、本人は知っているんです。ですから、スマホは東京の家に置いておく、防犯カメラに対しても服装を替えれば大丈夫だろうなど、計画している割には稚拙というか、単純だと思います」と見解を示し、さらに「服装を替えるにしても、容疑者本来の派手な性格が出てしまっており、逆に目立ってしまっています」と補足した。
そもそも、なぜ養子縁組をしたのかという点について、小川氏は「被害者が亡くなっているのではっきりしたことは分からないが、直子さんは友人らに『若い男性』についての話をしていることや、『腹違いの弟』がいるなどの話をしていたという証言も出てきている。凜容疑者が保険会社に在籍時、結婚をにおわせて女性から保険契約を取っていたという話からも、被害者に対しても結婚詐欺的な話をしていたか、直子さんを“お姉さん的な存在”として付き合い、養子縁組の承諾を得た可能性もあると思います。『婚姻』でなかったのは、この容疑者は既婚者で妻がいたからでしょう」と付け加えた。