寂しげな表情が頭から離れなくて…迎えたのは元繁殖犬・出産したばかりで、まだお乳が出ていたペキニーズ
ほまれちゃん(7歳・メス)は、元繁殖犬のペキニーズ。ブリーダーから保護団体が引き出し、その後保護犬カフェで里親を探した。保護当時、まだ乳首から乳が出ていて、子犬を産んだばかりだったそうだ。
千葉県に住む竹本さんは、18年間一緒に暮らしてきたチワワを亡くし、心にぽっかり穴が空いたようになっていた。当時、仕事もしておらず、毎日引きこもりがち。何をするにもやる気が出ず、夫が帰宅するまでベッドで過ごしていた。
「そんな時に保護犬カフェがあることを知り、どんなものか行ってみようと思ったんです。そこでほまれと出会いました」
■迎えに行きたい…仕事中の夫に泣きながら電話で相談
2018年4月、保護犬カフェに行ってみるとたくさんの犬がいた。竹本さんはなぜかほまれちゃんに惹かれたという。
「誰にも媚びず、おやつをあげても食べなかったんです。ずっと隅っこにいる消極的な子でした。どこか不安げで寂しそうな表情で、その日は後ろ髪を引かれながら帰宅しました」
寂しそうな表情がずっと頭から離れない。仕事中の夫に電話して泣きながら相談して、迎えに行こうということになった。
■自分の命より大切
ほまれちゃんを家に迎えると、食べむらがあり、数粒しか食べないことが多かった。「よく食べるよ!」と聞いたフードを試したがあまり変わることはなかった。しかし、時が経つにつれ、しっかり食べられるようになったという。まだ乳首からは乳が出ていて、子犬を産んだばかりだと分かった。乳首は床に着くほど垂れ下がり、獣医師に診せると、出産したのは一度や二度ではないと言われた。獣医師が、「帝王切開のあとはないかな…」と調べたが、幸いそれはなかったという。「あまりにも吠えないので、声帯を切られたのかもしれないと心配しました。でも、主人の実家の犬に初めて吠えたので、ほっとしました」
竹本夫妻は、早く馴れてもらおうと、あちらこちらにほまれちゃんを連れて出かけた。
ほまれちゃんはトラックの音が苦手で、家の前に宅急便のトラックが来ると、逃げるように隠れてしまう。性格はおっとりしていて、変なところでスイッチが入って笑わせてくれる。
ほまれちゃんは徐々に表情が豊かになった。竹本さんもほまれちゃんを迎えて変わった。人見知りで、付き合いが苦手で、新しい出会いは避けてきた。しかし、ほまれちゃんを迎えてからたくさんの出会いがあり、友人ができたという。
「ほまれがうちに来てから、『いい意味で変わったね!』と友人に言われて嬉しかったです」
竹本さんにとってほまれちゃんは自分の命より大切な存在。
「ほまれが楽しそうにしているととても嬉しいし、もっと喜ばせてあげたいと思います。ほまれのためならなんでもします」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)