“緑色の袋”のスナック菓子でおまじない「機械が正常に動きますように」…台湾で見かけた、不思議な習慣
台湾には昔ながらの習わしや信仰が今でも全世代に受け継がれていて、日々の生活の中に溶け込んでいます。中でも特に目にするのが緑色のスナック菓子「乖乖(グァイグァイ)」です。会社のサーバーやパソコン、工場の機械のそばに置かれて「機械が正常に動作しますように」「不具合が起きませんように」とお祈りされます。
台湾のメイン産業、半導体製造関連の仕事に従事する知人によると、半導体メーカーの工場などでは機械の不具合が命取りとなるので、グァイグァイがお供えされていることが多いのだとか。以前、筆者が取材で訪れた印刷工場の機械にもグァイグァイはしっかり挟まっていました。
■緑色だけが使われる理由
グァイグァイは、スーパーやコンビニで気軽に手に入る台湾ではおなじみのお菓子です。グァイグァイの意味は「いい子いい子」や「おとなしい子」。機械がいい子であってくれるようにーーという意味からも選ばれているようです。
価格は約20~30元(約90~140円)。種類は緑、黄、赤の全3種。緑は奶油椰子(ココナッツバター)味、黄色は五香粉(ウーシアンフェン、台湾のスパイス)味、赤は香濃巧克力(濃厚チョコレート)味です。
3種のうち、機械のおまじないに使われるのは緑色のみ。機械では緑は「ON」や「正常動作」の印を意味するからだそう。黄色や赤はエラーの意味なので縁起が悪いのでしょう。
おまじないには大事な決まりがもう一つあり、機械にお供えしたスナックは食べてはいけないそうです。
筆者はお供え以外で食べたことがありますが、サクッと軽い食感。日本のカールやキャラメルコーンのようなお菓子といえば分かりやすいでしょうか。緑色の味は、ココナッツはやや弱めですが、ほんのり甘い味です。ちなみに黄色の五香粉味は、日本のスナック菓子にはない味です。甘さはなく、どっちかというと塩辛いタイプ。スパイスの味は強くないので、八角が苦手な人でも食べられると思います。
■「お化けの月」にも活躍
ところで旧暦の7月(2022年は7月29日から8月26日)は中華圏では「鬼月(グェイユエ)」と呼ばれます。この「鬼」は日本の昔話に出てくるような鬼ではなく「ゴースト」の意味。お化けの月なのです。日本のお盆と同様に、ご先祖様などがあの世から帰ってくる期間です。
旧暦7月15日は「中元節」という日で、家庭だけでなく会社でも盛大にお祈りの儀式をします。路上にはテーブルが設置され、たくさんのお供物とともに線香に火がともされます。このお供物にもグァイグァイの緑色が使われることがよくあります。これはあの世から来る霊に対して「いい子にして悪さをしないでね」という意味があると聞いたことがあります。
台湾では本当にどこでも売られていて気軽に買えるグァイグァイ。今後、台湾旅行の際などにはぜひお試しください。
(まいどなニュース特約・Coco)