「寝て起きて、ご飯を食べてるだけで可愛い」元野良猫が悩みを忘れさせてくれた「私にとってのミューズ(女神)」
■ファニーな顔立ちに一目惚れ
なつちゃん(10歳・オス)は元野良猫で、餌やりのボランティアにごはんをもらっていた。とても人懐っこくて、すぐに捕まえることができ、保護団体の預かりボランティアのところで暮らしながら里親を募集した。
千葉県に住むDさんは、高齢の愛猫をガンで亡くし、喪失感でいっぱいだった。付きっきりで看病したので後悔はなかったが、猫が好きで、猫のいない生活は考えられなかった。
「里親募集サイトで猫を探して、ファニーな顔立ちに一目惚れして面会を申し込みました」
■あふれる猫愛
2013年8月、なつちゃんに会いに行くと、初対面なのにすぐに寄ってきて撫でさせてくれた。「すぐに連れて帰りたい」と言ったら、それはできないと言われた。
「脱走対策ができているかチェックする必要があるので、後日連れていきます」ということだった。
ボランティアが二人でなつちゃんを連れてきて、網戸やドアなどの不備をチェックし、「逃さないようにしてください」と言うので、Dさんが「はい、気をつけます」と答えたら、「気をつけるじゃないんです!絶対に外に出さないようにしてもらいたい。二度と不幸にしたくないのです」と説教されたという。
「あふれる猫愛に感動するとともに、自分の甘さを猛省しました」
■二度とこんな子には出会えない
なつちゃんは犬のような性格をしている。誰にでも人懐っこいが、とりわけ好きな人は兄貴分のDさんの夫。暑い日もべったり膝に乗っているという。
なつちゃんと暮らしてDさんはおおらかになった。
「寝て起きて、ごはんを食べているだけで猫は可愛いでしょう。そんななつを見ていると、自分の悩みなんてバカバカしく思えてくるんです」
Dさんにとってなつちゃんはミューズ(女神)なのだという。
「いつかきっとお別れは来ますが、できる限り一緒にいて、猫かわいがりをしたい。二度とこんな子には出会えないと思います。唯一無二の存在です」
ちなみに、Dさんはボランティアのことを「猫おばさん」と呼んでいる。なつちゃんを譲り受けた「猫おばさん」に感動したので、いつか猫おばさんになって役に立ちたいと思い、今では団体に所属。預かりボランティアをしているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)