米歌手レディー・ガガさんが8年ぶりの来日公演を行った9月4日の夜、ライブの興奮冷めやらぬファンの間で「VIP席限定傘」を通じた心温まる交流がありました。

■ライブ終了前、突然の大雨に…

　Twitterユーザーの縦釣鱒男さんは4日、レディー・ガガさんの公演を見るため、夫婦で埼玉県所沢市のベルーナドーム（西武ドーム）を訪れました。ライブが終わる数曲前から会場の外は突然の大雨に。終了後も降り続き、傘のなかった縦釣さんは、車椅子に乗る奥さんとともに大きな木の下で雨宿りしながら、車で迎えに来てくれる予定の家族と電話で連絡を取り合っていました。

　すると縦釣さんの肩をトントンと叩く人がいました。振り返ると20代ぐらいの男性が「これどうぞ」。折りたたみ傘を差し出し、立ち去りました。とっさのことだったため、縦釣さんは「すみません、ありがとうございます！」と口にするのがやっと。ちょうど家族と通話中だった奥さんも何が起こったのか瞬時には分かりませんでした。

■傘の柄を見てびっくり「これは大変な物だ！」

　男性の折りたたみ傘のお陰で雨に濡れず、迎えの家族とも落ち合えた夫婦。二人は帰宅後、明るい室内で傘の柄を見て驚きます。レディー・ガガライブのVIPチケット購入者だけがもらえる限定グッズだったのです。「これは大変な物だ！　何とかお返ししなければ」。縦釣さんは夫婦で相談の上、自身のTwitterに投稿します。

　「【拡散希望】9月4日ベルーナドーム　レディーガガLIVEの帰り大雨で自分と車椅子に乗っている嫁に傘を譲ってくれたお兄さんを探しています！ありがとうございますと受け取りましたが頂いた傘がVIP席限定の傘だったのでなんとかお返ししたいです」（Twitter投稿から引用）

　投稿を読んだユーザーからは「さすがガガ様ファン」「愛にあふれている」「なんてやさしいリトルモンスター（ガガさんファンの呼称）」「男前すぎる」「世の中捨てたもんじゃない」「ご本人に届くといいなあ」などの声が上がっています。

　縦釣さんによると「お兄さん」は20代から30代ぐらい。ライブには女性と2人で参戦していたようで、自分たちがさしていた2本のうちの1本を縦釣さん夫婦に譲ってくれた様子だったといいます。

■「実は…」ライブ数日前、夫婦で人助け

　縦釣さんは言いづらそうに「実はこんなことがあったんです」。ライブの数日前、東京都内で買い物中だった縦釣さん夫婦は、路上で財布の落とし物を見つけました。中には20万円近くの現金と商品券、身分証明証などが入っており「落とした人は焦ってるんじゃないか」。身分証から本人に連絡を入れ、無事に手渡すことができました。

　その数日後、自分たちにも訪れたサプライズ。「お財布を届けたから、親切な人に巡り会えたのかもしれないね」と夫婦で話しているそうです。

　縦釣さん夫婦の今の願いは、傘を譲ってくれたお兄さんにあらためて感謝の気持ちを伝えること。

　「帰宅して初めて、とても貴重な傘だったということが分かりました。あの大雨の中、とっさの判断で私たち夫婦に大事な傘を譲ってくださったことが、どんなにありがたかったか…。その場では『ありがとうございます』のひと言しか言えなかったので、あらためて感謝の気持ちをお伝えしたいです」（縦釣さん）

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　レディー・ガガさんの8年ぶり来日公演「THE CHROMATICA BALL」は9月3、4日、埼玉県所沢市のベルーナドームで開催されました。限定グッズ付きVIP席は10万円、GOLD席は5万円、S席1万8千円など。縦釣さん夫婦が訪れた4日のライブ終了後、レディー・ガガさん本人が衣装のまま会場外に姿を見せ、傘もささずにファンを見送ったことでも話題になりました。

（まいどなニュース・金井 かおる）