野良猫が産んだ子猫を家族に 「幸せにしてあげたい」と思っていたが、気づけば「幸せにしてもらっていた」
■野良猫が産んだ子猫
ななちゃん(9歳・オス)は、野良猫が産んだ子猫だった。2012年9月、東京都に住むYさん宅に1匹の野良猫が遊びに来るようになった。Yさんは、いずれ避妊手術をして地域猫にしようと思っていた。しかし、2013年6月15日、その猫は妊娠。毎日ごはんをもらっている家の庭で出産した。Yさんは子猫たちを保護しようと思った。
母猫は2日間に渡り、3匹ずつ子猫をYさん宅に連れてきた。エアコンの室外機の裏にいた子猫は6匹。Yさんは簡単な小屋を作り、ごはんをあげたり庭の一部に砂を撒いてトイレを作った。みんなトイレはそこでした。
Yさんは、写真を撮って知り合いに声をかけたり、保護活動をしている人に相談したりして、次々里親が決まった。子猫たちはYさんにすっかり懐いていたので、抱っこして保護できた。
「1匹、窓を開けると自力で家の中に入ってきて、少し遊ぶと庭に戻る子猫がいました。その子猫がななでした。知人が欲しいと言っていた子猫と一緒に家の中に入れました」
母猫は後日、TNRしたという。
■ななに幸せにしてもらっている
Yさんは、2日間だけ朝晩、ななちゃんをケージに入れた。落ち着いていて、朝起きて様子を見にいくと、可愛い顔でじーっと見つめてきた。外で暮らしていたが、外に出ていきたいということもなかった。
ななちゃんはビビリで、動物病院も怖がるし、来客が鳴らすインターホンの音や掃除機の音も怖がる。5歳の姪っ子が来てもシャーシャー威嚇しながら逃げ回っている。
そんなななちゃんだが、夫妻には甘えん坊っぷりを発揮。お尻をトントンしてもらったりお腹を撫でてもらったりすることが大好きだ。ごはんを食べることも大好きで、数回に分けて好きなカリカリをあげている。たまにもらうおやつも楽しみにしているそうだ。
夫妻はななちゃんが来てから夫婦で旅行に行くことがなくなった。外食もほとんどしなくなったという。
「お留守番が心配ということもありますが、私たちがななに会わないと寂しいんです。保護した時は幸せにしてあげたいと思っていて、今もその気持ちは変わりませんが、気がついたら、幸せにしてもらっているなと感じています。ななとの毎日を、1日1日大切に過ごしていこうと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)