一人ぼっちを見かねて保護した幼い猫 自由な外猫が「我が家で暮らすことが本当に幸せなのか」悩んだけれど…

ひなちゃん(生後10カ月・メス)は、野良猫だった。千葉県に住むSさんの夫の実家兼職場にはごはんを食べにくるふうちゃんという外猫がいた。2021年12月15日、ふうちゃんはひなちゃんを連れてきた。それから毎日2匹でごはんを食べに来るようになったが、1カ月後、ふうちゃんはぱったり来なくなってしまった。

Sさん夫妻は、まだ幼いひなちゃんが一人ぼっちで行動するのを見て不安になり、このまま毎日来てくれるなら捕獲しようと考えていた。しかし、ふうちゃんが姿を見せなくなってから、ひなちゃんは週に2日か3日しか来なくなった。

「春先になると、オスの外猫がひなを狙って現れるようになり、早く避妊手術しないと妊娠してしまうと心配しました。4月になって保護団体の人と繋がることができ、5月2日、捕獲機を使って捕獲に成功しました」

■里親を探そうと思っていたが、そのまま家族に

Sさんは、ひなちゃんを動物病院に連れて行き、一連の検査とワクチン接種を済ませた。避妊手術もしたが、お腹の中には胎児がいたので、堕胎したという。

夫妻は既に3匹の猫を飼っていたので、ひなちゃんは里親を探そうと思っていた。しかし、1カ月間一緒に暮らしてみて、先住猫たちも受け入れてくれたので、そのまま家族として迎えることにしたそうだ。

「今まで外猫として自由に生きてきたひなにとって、我が家で暮らすことが本当に幸せなのか、それを一番に考えました。先住猫が受け入れてくれるかどうかも気がかりで、特に、りくは自分より後に来た子を受け入れるのは初めてだったので心配しました」

■ふうちゃんの行方は

ひなちゃんがS家に来て4カ月。最初は人間を警戒していたが、今ではごはんの催促をする。ナデナデも要求し、お尻トントンも「もっと~!」と要求。少しずつ自己主張して甘えるようになった。先住猫のりくくんのことが大好きで、世話女房のようにペロペロするという。

ひなちゃんを連れてきた白猫のふうちゃんはどうしたのだろう。

「姿を見せなくなって半年以上経ちますが、まだ戻ってきません。私たちはずっと待っているのですが、その傍ら、どこかの優しい人に保護されていることを祈っています。みんな大切な命。世界中の猫ちゃんが幸せになりますように」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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