「保育園の連絡帳にウンザリ」…そんなママ友の愚痴を受け止められなかった私 自分も子育ての真っ最中は大変だったのに
少し前の話なんですが、今もずっとノドにささった小骨みたいにズキンとしていることがあるんです。ママ友のグループで集まったとき、まだ保育園児がいるママが数人いて「保育園さまさまだよね~」「ほんと足向けて寝られないよ」みたいな話題になりました。ただ、ひとりのママから、肩をすくめながらこう言われたのです。
「ウチ、2人目は10カ月で保育園入れたんだけど。正直、ちょっと、なんでこんな面倒くさいの!って。保育園にウンザリ、疲れちゃって」
■面倒くさい根源は…「保育園の連絡帳」
彼女は長男を産み1年2カ月で職場復帰、子どもは近所にいた実母に預け、3歳からは延長保育つきの幼稚園に入れていました。その後、少し歳が離れて下の子を出産。この時、既に実母は亡くなっていたほか、仕事の関係上育休を早めに切り上げざるを得ず、下の子は10カ月から保育園に預けることに決めました。
彼女なりに、かなりリサーチして、納得した園を選んだのですが…通わせてみると、いろいろと感じるところがあったようなのです。特に問題は「保育園の連絡帳」にあったようで…。
「保育園の連絡帳どーしてあんなに書くことがあるの!? 就寝時間に起床時間、排便でしょ。離乳食の献立も書くのよ!柔らかご飯80グラムとかさ、ミルクの量とかさ、いちいちはかってられないわよ!」
「子どもの様子を書くみたいなメモ欄もあるでしょ。けっこう大きなスペースだけど、毎日書くことなんてないよ!」
「会社の昼休み、帰宅時と、常に今日は何を書いたらいいんだろうと考えてしまう。疲れ果てた日とか、離乳食は面倒だから味噌汁おじやでいいや、と思ったりしても、連絡帳に書くことを考えると『軟飯・ほうれん草を出汁で煮て、豆腐ハンバーグ』くらいは作らないと、と思ったり。どんどん面倒なことが増えていくんだよね」
連絡帳を放り投げたこともあるわ、と、彼女は言いました。
■愚痴をこぼしたら冷たい視線にさらされて
ちなみに、彼女の話はそれだけでは終わりませんでした。
「ちょっと忙しくて忘れていたら、爪切りを必ずして下さいって言われちゃったし」
「延長保育に5分遅れただけで、先生に思いっきりイヤな顔されるし」
「後追いの時期のせいか、園に着くと泣きわめくんだけど、先生はお母さんが未練がましい態度をとると余計に泣きますからって私に説教するのよ!」
そして、ほとほと「保育園疲れ」していた彼女は、ついこんなことをポロッと口にしました。
「忙しいから預けるのが保育園なのに、大変すぎ!!もっと先生とか優しくしてくれてもいいのに」
…ところが、うなずいてくれると思っていたママ友たちからは冷たい視線を食らってしまいました。私も聞きながら「保育園入れない人だっているのに、そこまで言うのはなぁ」と思っていました。
爪切りは医療行為とみなして園で行わないところもありますから、方針に従うしかありません。ハイハイや伝い歩きする10カ月の子が爪で誰かをひっかいたりしたら、それこそ大変でしょうから親が気配りしないと迷惑をかけてしまうかもしれません。
1歳未満の子どもを預けている以上、保育園側として昨日何を食べて、どれくらい寝て、ウンチは出ているのどうかは、情報として必要でしょう。離乳食に関しては連絡帳に書くために作っているわけじゃないので、そんなところで見栄をはらなくてもいいでしょう。
連絡帳なんて「ノート1枚分」です。幼い子どもを預けているのですから、それくらい書いて当然。「面倒くさいなんて言うか?」と思ったのは事実です。
■偉そうに説教をしてしまった
まだ手のかかる上の子もいて、共働きの夫は頑張ってるけど、正直「本当に助かること」はやってくれなかったりする。そんな状況で、上の子の時は実母に預けられて、恵まれた環境を経験している彼女からしたら、「保育園ってこんな面倒なわけ?」とビックリしたのかもしれません。
でも私はその時、「それってさ~、母親として当然のことじゃないの」と言いました。特に連絡帳については、保育園側としては預かった子どもを健やかに正しく見守るためには情報が必要。そのためにも連絡帳を書くことは、やはり親のつとめのように思います。
それを聞いた彼女は、私の顔を見て小さなため息をついただけでした。少し気まずい雰囲気のまま、別れました。
◇ ◇
しかし翌日。彼女との会話を振り返っていて、あることに気が付きました。すでに私の子どもは手がかからないほど成長していますが、自分の子どもが幼いころの大変だった記憶はすっかり薄らいでしまっていたのです。
思わず吐き出していた彼女の愚痴を、「うん、大変だよね」と共感する。あるいは共有して「そうか、それってかなり大変そうだね」と肯定する言葉が浮かばなかった。
それどころか「それってさ」と偉そうに指摘する自分がいたことに、「子育てって、その真っ最中にしかわからないことがある。過ぎてしまえば忘れてしまうことの方が多い」と、あらためて思ったのでした。
■ママ友の愚痴を受け止めてあげれば良かった
保育園の連絡帳、あなたはどうでしょうか? 子どもの様子を書く欄を前に「むぅ~、もう書くことなんかないし」と思ったことはありませんか。
3人の子を持つ、別の友人が私にこう言いました。
「連絡帳? もはやテンプレート化してて、内容もループ状態。それに保育園だって離乳食の欄とか『全部正直に書かれていない』くらいには思っているはず。あたしだってたまに盛って書いてるもん!でも園の先生たちは見抜いてると思うけどね」
「いいのよ、連絡帳なんてそこまで真剣にきっちり書かなくても。3人目の時は、大事なことだったら先生に直接口にして伝えたもん」
でも、それは子どもを3人も保育園に通わせながら育て、ベテランの域に入っているママだからこそ言えること。経験の積み重ねがあったからこそ、です。
初めての保育園。やはりわからないこともあるし、完璧をめざして一生懸命に連絡帳を書きもするでしょう。もともと「書く」ことが得意だったり苦にならない人もいれば、その逆に文章を考えるのが面倒という人もいるでしょう。保育園とのやりとりが苦手で、うまくできないママがいたって当たり前なんですよね。
誰にでも得手不得手があります。子どもを育てる時に「これ嫌い」とかは言っていられないけれど、言うべき相手さえ間違えなければ、思いは口にしていいはず。私の友だちは保育園に対して文句を言いたかったわけではなく、ただ、長年の友だちにワガママを聞いてほしくて、愚痴をもらしただけだったんですね。
あの時、「ちょっとキツイこと言ったけどさ、私も同じ立場だったら『面倒くさ~、大変~』って叫んでるよ~」と、彼女の気持ちに寄り添うように、最後に簡単なひと言だけでも口にしていればよかった。
今さらだけど「この前は言い過ぎたかも」と、ひと言メールしたれ!…と思うと同時に、働くママ同士の愚痴は本当に同じ環境にないと、なかなか相手を思いやる言葉が出ないものだなぁ…と思ったり。それでズキンズキンと痛みを抱えつつ反省中の私です。
(まいどなニュース/BRAVA編集部)