異変から1年、愛猫の診断結果は「筋ジストロフィー」 飼い主はかかりつけ医近くに引っ越した  

筋肉が徐々に弱っていく「筋ジストロフィー」は人間の場合、指定難病です。猫の場合も治療が困難で、発症率は低いと言われています。そんな病と闘っているのが、ran_nekosan(@ran_nekosan)さん宅のらんちゃん。らんちゃんは、1歳の頃に病気を発症。病名の特定に至るまでに、多くの時間を費やしました。

■異変を感じて病院で検査をするも原因は不明

かねてから動物と暮らしたいと思っていた、飼い主さん。らんちゃんとの出会いは、運命的なものでした。

「友人から『同僚が子猫を2匹保護して里親を探している』との連絡をもらいました。運命を感じ、会う前に写真や動画を見ただけで引き取ることを決意しました」

らんちゃんと兄弟猫のてんくんは、引っ越しが落ち着いたタイミングで飼い主さん宅へ。暮らしは一気ににぎやかになり、飼い主さんの笑顔も増えました。

ところが、迎えてから1年ほど経った頃。ふと、らんちゃんが数日前から高所に登っていないことに気づき、心配に。

「もともとすごくお転婆で、開いているドアの上やケージの上、キャットウォークの上部によく登っていたのに、30cmくらいの高さに登るのがやっとのように見え、体全体でべちゃっと着地していました」

歩いてもすぐに座ってしまって、おかしい…。そう感じた飼い主さんは間近に迫っていたワクチン接種の際に血液検査も依頼。異常は見つかりませんでしたが、らんちゃんの症状は悪化。手足に力が入りにくくなっていきました。

「歩けないわけではありませんでしたが、後ろ足の力が特に入りにくかったようで、逆立ち状態で排便をしていたので、再び病院へ行きました」

病院では詳細な血液検査に加え、レントゲン、超音波検査、尿検査なども行ってもらいましたが、またしても原因は不明。

けれど、1歳の若猫にそうした症状が現れたことを珍しく思った獣医師さんは着地の仕方や歩き方を動画に撮り、グループ病院の神経内科医に相談。翌週MRIを撮り、脳脊髄液検査も行うこととなりました。

しかし、その検査でも目立った異常は見られず、原因は不明なまま。その後、らんちゃんは高所に登るようになったため、飼い主さんは獣医師と相談し、しばらく様子を見ることにしました。

■ようやく判明した病名は「筋ジストロフィー」

すると、半年後、再び同じ症状が。そこで、筋電図検査や箇所かの筋肉を取る筋生検を行ったところ、ようやく「筋ジストロフィー」であることが判明。それは症状に気づいてから、約1年後のことでした。

飼い主さんは病名が分かったという安心感と、未来への不安で胸がいっぱいに。

「数は少ないけれど、同じ病気の猫さんは若いうちに命を落としているという情報があるとも聞き、どうしよう…と不安で泣きました」

人間と同じく、猫の筋ジストロフィーも根治法がなく、できるのは対処療法での痛みの緩和。それでも、飼い主さんは気持ちを奮い立たせ、共に病気と向き合う覚悟を固めました。

その日から、らんちゃんは毎日ステロイドと胃薬を服用するように。月1回血液検査を受け、半年に1度、半日入院をし、全身検査を受けています。

幸いにも、症状は進行しておらず、現在は元気に走り回ることも。

そんな様子を嬉しく思う飼い主さんは、らんちゃんが過ごしやすいように住環境やライフスタイルを見直しました。

「トイレは入りやすいよう、入り口が低いものに変えました。あとは留守番をさせている時間が心配なので、早く帰るようになりました。コロナ禍でテレワークになったのも、嬉しかったです」

また、ステロイドの影響で体重が増えたため、らんちゃんのフードはダイエット食に変更。

「障害を持っている猫と意識して接してはいません。全力でかわいいです。病院代はかかりますが(笑)」

らんちゃんを特別視していないのは、兄弟猫のてんくんも同じ。よくちょっかいを出しに行ってはらんちゃんに怒られ、悲痛な声をあげて反抗しているだとか。

「てんがいっぱい動くと、らんにとっても運動となるので見守っています。2匹がいるから、毎日明るい感情が溢れる。最愛の家族です」

毎月の定期健診ではドキドキするし、手足に力が入らなくなったり、食べ物を飲み込めなくなったりしたら…と考えることは正直ある。けれど、愛猫が痛みや苦しみを感じないよう、自分にできることはしていきたい。

そう話す飼い主さんはかかりつけ病院の近くに引っ越し、いつかのために動物介護士の資格を取得。自分の心を落ち着かせながら、共に病気と闘っています。

「最初は1錠だったステロイドが、最近1/4錠になりました。このままよくなってくれと、切に願っています」

そんな無限大の愛情は、らんちゃんにも届いているよう。らんちゃんは飼い主さんの指を吸ったり、腕枕をしてもらって眠るのが大好き。

「朝まで一緒に寝てくれるので身動きが取れず、毎日体がバキバキです(笑)それを改善するために運動をするようになり、健康的になった気がします。らんちゃん、ありがとう」

思い、思われる穏やかな日々。それが、この先も長く続きますように。

(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

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