薄汚れて口から出血、家の中をジッと見ていた野良猫 保護するも猫パンチで威嚇されまくり→今は「なでなで」が大好き
■黒茶色に汚れた野良猫
ネムちゃん(10歳・メス)は、2021年11月、埼玉県に住むNさん宅に現れるようになった。今まで見かけたことがない猫だったという。
Nさんはごはんをあげながら様子を見ていた。ネムちゃんは全身が黒茶色に汚れていて、口の中がいたそうな仕草をしていた。後に、口から出血していたため、その痛みで自分の身体をグルーミングできず、汚れていたことが分かった。ネムちゃんはいつも窓の外から家の中をじっと見ていた。
保護するかどうか迷っているうちに12月になり、ネムちゃんは姿を見せなくなった。
「どうしているか心配しながら年越ししました。1月中旬に再び現れたので、こんな心配になるくらいならと思い、保護することにしました。1月17日、キャリーケースにごはんを置いておいたら、あっけなく中に入ってくれて、保護することができました」
■撫でられるのが好き
Nさんはネムちゃんをすぐに病院に連れて行った。迷い猫かもしれないので動物保護センターや警察にも届け出をしたが、探している人はいなかった。最初、警察に連絡した時、「猫を保護しまして・・・」と話し始めると、「あー、すぐに元の場所に戻してください。家があるなら自分で戻るかもしれませんから」と言われ、Nさんは驚いて、悲しく、残念に感じたという。野良猫が多くて、対応に苦慮しているのかもしれない。Nさんは、拾得物と飼育受託の手続きを終え、3カ月後、ネムちゃんを正式に家族として迎えた。
保護したての頃、ネムちゃんの目は据わっていて、じっとNさんを睨んだ。ケージに手を入れようとしたら威嚇して猫パンチが飛んでくる。病院に連れて行くのも一苦労。ネットに入れて通院したそうだ。しかし、思いのほか早く慣れてくれたそうだ。
「成猫で、野良歴が長かったので一緒に生活しても撫でさせてくれないと思っていました。でも、少しずつ馴れてくれて、今では撫でられるのが大好き。穏やかな表情に変わりました。愛情は種が違っても伝わると思いました」
■笑いと癒しをくれる猫
ネムちゃんはひどい歯周病になっていた。自分からケージを出て、家に馴染んだ頃に手術をしようということになり、無事手術できた。Nさん宅には先住猫が1匹いたのだが、当時、その猫が腎不全を患い、出費が嵩んだ。動物健康保険に加入することは大事だと痛感したという。
今は撫でられるのが好きだが、警戒心が強く、Nさんは時間をかけて見守った。おかげで気長になったそうだ。ネムちゃんは元気で、愛嬌ある顔と動きで笑いと癒しをくれる。また、人の動きをよく見ていて観察力があるという。
「野良と家猫、猫にとってどちらが幸せなのか分からず、永遠のテーマです。それでも迎えたからにはたくさん愛情をかけて、この家で良かったと感じてもらいたいと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)