世界の時事問題はいろいろあるけれど…ニューヨーカーの関心事とは? 滞在中の歯科医芸人がリポート
歯科医芸人の”パンヂー陳”こと陳明裕さんは現在、ニューヨークに滞在中。大学で講義をしているとのことですが、頼まれてもいないのに勝手に特派員役を買って出てくれています。この時期の話題はやはりハロウィン。なにやら、お化け屋敷が人気なんだとか。本場の風習をまじえて、人気の理由を伝えてくれました。(聞き手・山本 智行)
--日本では安倍元首相の国葬を巡って激しい論戦が続いてます。アメリカでも少しは話題になっていますか?
陳明裕(以下陳):全くです。こちらに来た時期がちょうどエリザベス女王が亡くなられた時期だったので、それでかすんでしまったのか、それとも最初からなのか。おそらく後者では。
--エリザベス女王は関心が高いとか。
陳:ここバッファローはカナダとの国境が近いからか、エリザベス女王コインが話題に上ってます。というのもカナダはいまも英連邦王国の一員で、国家元首はエリザベス女王だったので硬貨の表面には、彼女の横顔が刻印されています。
--そうでしたっけ。
陳:はい。カナダの硬貨は以前から一貫してイギリス国王の肖像が使われているので「今回もチャールズ国王に代わるんじゃないか」とか「価値が上がるかもしれないから、いま持ってるカナダ硬貨は取っておこう」といった話をみんな結構楽しんでますよ。
--どこの国の人も考えることは一緒なんですね。そういえば、私も日本の500円札とか2000円札をしばらく保管していたときがありました。
陳:2000円札は現役のはずですけど、確かに絶滅危惧種みたいになっちゃってますね。現在カナダの20ドル紙幣もエリザベス女王なので、もしかしたらこっちも変わるかも、なんですが、それよりも、この時期のアメリカと言えばハロウィンです。
--日本もすっかり定着しましたが、そっちのハロウィン、どんなのか教えてください。
陳:9月に入り、どこのスーパーの入り口にもかぼちゃが並んでいて、すでに街はハロウィン一色です。こっちでは仮装した子どもたちがお菓子をもらいに家を回る「Trick or Treat(トリック・オア・トリート)」という風習があるので、お菓子を買って用意しとかなきゃいけないんですよ。
--小さい子がいる家庭も、いない家庭も用意するんですか?
陳:そうです。ハロウィン当日は子どもが歩いて移動するだけじゃなく、親が子どもを車に乗せて、あちこちの家を回ったりします。ときに、お菓子稼ぎに遠出する親もいるので油断は禁物です。
--あらまぁ。仮装大会になっている日本とは趣が異なりますね。
陳:そうですね。当日は歯科病院でも、仮装してくる先生や歯科衛生士もいますし、地域によってはパレードがあります。ホント、国民的一大イベント。中でも僕が毎年楽しみにしているのが、お化け屋敷なんです。
■ハリウッド映画かと思うほど、メイクも本格的
--はー?お化け屋敷?お化け屋敷のような顔して。もうすぐお迎えが来て、放っておいても自分がお化けになるような年やのに。
陳:どこが、お化け屋敷のような顔なんですか。しかし、こっちのお化け屋敷はメイクもハリウッド映画かと思うほど本格的やし、演出が凝ってるんです。このシーズンは全米各地で、空いてるテナントを選挙の時の選挙事務所みたいに短期で借りて、本格的なお化け屋敷を設けてます。
--お化け屋敷にそれほどのニーズがありますぅ?子供しか行かないんちゃいます?
陳:何を言っているんですか。ちっちゃな子よりはティーンエージャーに人気です。お化け屋敷の前はさながら日本ならコンビニの前みたいに若い子がたむろしてます。どうやら、この時期の定番のデートコースみたいになっていて、僕は毎年、キャッキャッ言ってる高校生くらいのカップルに混じって見に行きますが、オッサンの僕でも思わず声を出しちゃうくらい本格的で怖いです。
--大げさなんと違いますか。
陳:いえいえ。大抵、1つの場所に趣向の違うお化け屋敷が5つか6つ出ていて、それぞれに「病院にマッドドクター」とか「廃墟に幽霊」「農家にチェンソーを持った殺人鬼」「お化けが出る迷路」など異なった演出で構成されています。1日で全部を見て回るのは大変なので、残りはそのシーズン中なら、いつ行っても良いというシステムになっています。
--お化け屋敷マニアが多いんですね。所変われば…ですね。
陳:僕の中で、これまでのベストは、スクールバスに乗ってキャンプ場を回るというやつ。キャンプ地に着く度にゾンビやお化けが出てきて、バスの車内にもゾンビが入って来るという設定でした。
--それの何が良かったんですか?
陳:スクールバスに乗っていればOKというのが良かったんです。歩かなくても良かったので、膝とかが痛くなることもなく、僕のような年齢の人には楽ちんで、とてもありがたかったです。
--そこですか?しかし、歩くのがしんどいとか、膝関節が痛いとかいう人は普通、お化け屋敷には行かないでしょう?
陳:おっしゃる通りで、若いカップルとかは、歩いてキャーとか言って抱きついたりするのが良いみたいです。したがって、みんなでバスに乗って、座ってるだけというのは不評だったようで後にも先にもその1回で見かけなくなりました。
--次はもっと実のある報告お願いします。
(まいどなニュース特約・山本 智行)