働く人に寄り寄ったBOSSシリーズが30歳に 頼れる1本は今も健在

■ボスジャンが大ブームに

「何回目やねん!」とちょっとツッコみたくなるのですが、サントリーがボスジャンの当たるキャンペーンを開始しています。今回は、初代復刻と30周年記念デザインのリバーシブル。たしか、5年前も初代ボスジャン(復刻版)のプレゼントをしていました。この何度も登場するボスジャンは、まさにキャンペーンの金字塔。約30年前のキャンペーンは、2万名にプレゼントという太っ腹さもあって大ブームになりました。

■ティラミス人気で認知度アップ!

そんな『BOSS』ももう30歳。BOSSの生まれた92年というのは、グルメ的には少し前からの「イタめし(イタリア料理)」が流行していたころ。そこから派生したイタリアンスイーツのティラミスが脚光を浴びていました。このスイーツの生地に使用されていたのがコーヒー。同時にこのスイーツと相性のいいエスプレッソが世間に認知されるようになりました。

■嗜好やニーズに合わせて進化

それまでの缶コーヒーは、ミルクと砂糖の入ったものがほとんどだったので、BOSSも最初はそんな感じでした。コーヒーシーンではティラミスブーム効果なのか、エスプレッソマシーンを使うカフェ・ラテという飲み物の存在が注目を集めました。

自分たちの嗜好やニーズに合った缶コーヒーを選べるようになってきたのもこのころ。特に長距離ドライバーや、現場に立つハードワーカーにファンの多いカフェオレ系や、オフィスワーカーに人気の無糖や微糖など、BOSSは働く人のさまざまな嗜好に合わせて、バリエーションを増やしました。02年ごろには現在のラインアップに近いものになり、「働く人の相棒」のコンセプト通り、手軽に飲める親しみやすい国民的飲料として発展しました。

ちなみに、いまやボスの定番となったレインボーマウンテンは04年9月、贅沢微糖は07年9月の発売。16年にはミルクなどで割って飲む10杯分を濃縮した現在のボス カフェベース、17年には、ペットボトルコーヒーのクラフトボスシリーズを世に送り出しました。缶コーヒーにとどまらず、多様なニーズに合わせたことで、ヒット商品が次々と誕生。『BOSS』シリーズの価値を高めました。

話をボスジャンに戻すと2代目(14年)の本革バージョンは当選1万名に対して923万件の応募があったとか。なるほど、味わいだけでなく、「働く人の相棒」としてファンのハートをつかむテクニックがバツグン。デスクワーカー、家庭内での女性、コロナ禍のリモートワーク層など、時代に寄り添い移り変わる働く人の支持を集め続けてきました。

■働く人の日常に寄り添った存在に

 5%以下といわれる飲食店の10年生存率。飲食店ではないですが、30年続くことの理由は、いつの時代でも、「働く人の相棒」として寄り添ってきた結果。仕事がうまくいかず落ち込んでいる時に頼れる1本、孤独な時間にほっと落ち着ける1本は、多くの人にとって欠かせないものになりました。働く人の日常に寄り添った存在になり続ける『BOSS』には、これからもユーザーを先回りして、新たなコーヒーの楽しみ方を提案して欲しいと思います。

 取材・文/髙田 強

フードライター。関西エリアを中心に雑誌やwebで飲食店やフードトレンドについての記事を執筆。現在は「関西ウォーカー」や「おとなの週末」、「SKY WARD」、などの雑誌、情報誌に寄稿。約月1回ペースで登場する関西テレビ「よ~いドン!などのテレビ番組にグルメ情報のナビゲーターとして出演。

(まいどなニュース/デイリースポーツ)

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