酷暑にニャーニャー助けを呼び求めていた子猫 ミルクから必死に育てて「命を救うことができて良かった」

■タイヤの中で鳴いていた子猫

ふくくん(1歳・オス)は、2021年7月、タイヤの中で鳴いていた。まだ小さな、小さな猫だった。

「ふくはかなり長い間一生懸命鳴いていたようで、鳴き声に気づいた知人がふくを保護しました。恐らく母猫が見捨てて置いていったのだと思います。真夏のタイヤの中は相当暑くなっていたと聞きました。知人はペットを飼っていたためと猫を預かるのが難しく、そこで、猫を飼っている我が家に連絡があり、迎えに行きました」

Hさんは、えいとくんという猫を2018年8月に保護した。その後、えいとくんと数年暮らすうちに、えいとくんは他の猫との交流がなく、猫の社会性やルールが身についていないと感じていた。特に噛み癖がひどく、以前母の実家で飼育していた親子猫との違いに驚かされていた。ふくくんと出会ったのは、えいとくんのためにもう1匹猫がいた方がいいのではないかと考えていた頃だった。

■ミルクから育てるのは大変だった!

まだ離乳も済んでいないどころか、一目では猫と分からないほどの子猫で、Hさんは対処に悩んだ。お世話になっている獣医さんのところで診察してもらい、「頑張って育ててね」と言われたことをきっかけに、自分たちでこの子を育てようと決意したそうだ。

離乳前は特に大変で、Hさんは手探り状態で色々なことを調べながら、必死にミルクを飲ませた。家族全員で何とか授乳をしていました。

「先住猫という概念にも初めて直面し、ふくを迎えたことで先住猫のえいとに心配をさせたり、見捨てられ感を感じさせたりしないようにするのもなかなか大変でした」

ミルク(乳飲児)のふくくんを育てて、Hさんは、「育児って大変だな、育児してる・したことある人ってすごいな」と思うようになった。

「日頃、仕事で子どもやその保護者と接する度に、ふとそのようなことを考えるようになりました」

■自分で救った二つの命

ふくくんは、気ままですぐにどこかへ行き、狭い場所や高い場所、意外な場所に潜んでいることが多い。そのため、「家庭内野良」とも揶揄されている。鈴の入ったボールが好きで、ちゅーるのおまけで付いてきたciaoボールを転がすとすぐに飛びついてくる。

えいとくんもふくくんも、台風の直前や酷暑の最中に保護した。もし保護していなければ、命を落としていたかもしれない。

「そう考えると、あのタイミングで出会えたのは奇跡としか言いようがないですし、運命さえも感じます。今までは保護猫カフェに通うなどして保護猫活動を微力ながら支援してきましたが、自分で2匹の保護猫の命を救うことができ、嬉しく思っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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