カエルやヘビを食べて生きていた子猫の里親に「元気に幸せに育ててあげたい」家族にとっては神様のような存在
■可愛い黒猫の子猫
リンちゃん(2歳・メス)は、子猫の時、保健所で里親が現れるのを待っていた。隣の市の一般家庭で、子猫が増えて困っていたため保護したのだという。
福島県に住む小池さんは、保健所で臨時事務補助員として働いていた。保健所の施設内に愛護センターがあり、お昼休みになると保護された子猫を見に行っていた。
「私は保健所に勤めていましたが、愛護センターの業務をしていたわけではないので、詳しい業務内容は分かりません。でも、職員の皆さんが可愛がってお世話されていたのがとても印象的でした」
小池さん宅には、ペットショップで出会った先住猫(ミヌエットのモカちゃん・当時生後8ヶ月)がいたのだが、小池さんが仕事を始めたため、お留守番の時間が増えてしまった。そのため、もう1匹迎え入れたいと思っていたそうだ。
小池さんは、ある日、仕事が終わった後、当時小学2年生だった娘さんと一緒に保護されていた子猫を見せてもらった。
「職員さんが優しく子猫を抱っこしながら対応して下さいました。ただ、そのときにいたキジトラと黒猫の兄弟は、既に里親希望の方がいたので、うちで引き取れる猫はいないと言われました。娘は黒猫ちゃんが気に入ったらしく、なかなか諦めきれず、後ろ髪を引かれながら帰りました」
■里親希望者がキャンセル
すると翌日、いつも通り勤務していた小池さんのところに、昨日対応してくれた職員さんがやってきて、「黒猫ちゃんキャンセルになりました」と教えてくれた。
「なんでも、希望されていた方は、ご家族から多頭飼いは無理だから、1匹だけにするように言われたそうです」
当時子猫たちが保管されていたところは、外に近い環境だった。天気予報では、翌日からの三連休は気温が下がると言っていたので、誰か職員が家に連れて帰らなければならなかった。
「そこで、急遽トライアルするための講習を受け、週末に連れて帰ることになったのです」
■猫は神様のよう
昨日、泣く泣く諦めた子猫を急に連れて帰ったので、娘さんはサプライズに驚いていた。夫も大歓迎で、トライアルを経て正式に迎えた。
先住猫のモカちゃんとは、モカちゃんが他の猫に馴染みがないため、ストレスにならないよう慎重に会わせた。今も、あまりべったり仲良くするような関係ではないが、ほどよい距離を保っているという。
リンちゃんを迎えてすぐに病院で便検査をしたら、虫の卵がいくつか見つかった。その中にはマンソン裂頭条虫の卵もあり、獣医師は久しぶりに見たと言っていた。マンソン裂頭条虫は、カエルやヘビを食べることで寄生する。
「農家のお家にいたはずなのに、そんなものを食べながら一生懸命生きていたのだと思うと、元気に幸せに育ててあげたいと、より強く思いました」
小池さんにとって猫たちは、家族を幸せにするためにやってきてくれた神様のような存在。いつも「ありがとう」と伝えているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)