ミツバチの減少、本当に大丈夫なのか?

 「国産だから大丈夫よ!!」あるいは、「国産のやつはないの?」など以前は食べ物、電化製品に対して国産が一番という国産神話がありました。しかし、この国産神話は本当に正しかったのか?

 高度経済成長期を経て、日本は素晴らしい国になりました。敗戦後、瞬く間に世界のトップクラスに位置する国になりました。それは我々国民が優秀である証だと思います。同時に目を覆いたくなる悲惨な出来事も起きてきました。四大公害病もその一つです。

 水銀が原因で様々な神経症状を有する水俣病。その後、発症した新潟水俣病、工場から排出されるカドミウムの過剰摂取によって重度の骨粗鬆症様の症状を呈するイタイイタイ病、硫黄酸化物の大量吸引で引き起こされた四日市ぜんそくが、その四大公害病です。

 水俣病は、1953年頃から平穏だった漁村で猫が急に狂って海に飛び込んだり、鳥が空から突然落ちて死ぬという異変が起きてから3年後に報告されています。その6か月後に熊本大学は、「ある種の重金属に汚染された魚介類を食したことによる中毒」と県に報告をしています。その12年後に国は、水俣病がメチル水銀化合物が原因であると、ようやく認めました。その間に、残念ながら第二水俣病と言われる新潟水俣病によって多くの被害者が出ました。

 今、同様に見える事が世界で起きています。ミツバチの減少です。なぜ、ミツバチが激減したのか?それは、浸透系農薬であるネオニコチノイドが使われることによって、ミツバチの神経系に異常を来し、ミツバチが激減したとされています。

 事態を重く受け止めた欧州では、ネオニコチノイドの使用が禁止されています。しかし、いまだに日本では多くの農作物、果物に使用され、人体に入ってきています。水俣病のようにならないことを祈るばかりです。

◆谷光 利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。

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