出産前後に犬を飼う→妊婦の精神安定に寄与  孤独感を減らすペットの飼育 やっぱり犬は人間の友だった!

出産前後に犬を飼うことが妊婦の精神安定に寄与するという論文がSNS上で大きな注目を集めている

きっかけになったのは小児科、新生児科医の今西洋介さん(@doctor_nw)による「妊娠中にペット飼ってると(特に犬)産後1年の精神的な問題を有意に減らす」で始まる投稿だ。国内7万人を対象としたコホート調査から、ペット(特に犬)の飼育は孤独感を減らし、自尊心を高める作用があるというのだ。

件の論文は国内の大規模調査を経て発表された「Pet ownership during pregnancy and mothers' mental health conditions up to 1 year postpartum(妊娠中のペットの飼い主と産後1年までの母親の精神的健康状態)」。犬を飼うことは妊婦に抑うつ効果をもたらす。ただし猫を飼うことは若干のリスクになるという内容だ。

この興味深いに内容に、SNSユーザー達からは

「本当に犬は人間の友なんですね、感覚的にも科学的にも」

「猫だと結果は逆になるのですね。その理由が知りたい…!」

「躾ができている犬が病院や老人ホームや学校で居ることができたら、今の世の中で貢献してくれると私は思うんだけど。お喋りできなくても察知能力高く寄り添ってくれる犬たち。感謝」

など数々の驚きの声が寄せられている。

今西さんにお話を聞いた。

ーー妊娠中や産後にうつ状態に陥ってしまう人はどれくらいいるのでしょうか?

今西:おおよそ10人に1人の割合と言われています。私自身、診させていただくこともあるのですが「私がなるとは思わなかった」とおっしゃる方が多いですね。ですが妊娠中、産後のうつはホルモンバランスの異常により引き起こされるので、誰にでも起こりうるものなんです。自分を責めるだけでなく「自分が今これだけ苦しいのは赤ちゃんのせいだ」と思い込んでしまう特徴があります。

ーー今回の論文をご覧になったご感想をお聞かせください。

今西:動物がメンタルヘルスに有効であるというのは以前からよく言われていました。特に犬はさまざまな障害を持った方の補助を担ってきたので、今回の論文で事実の裏付けができたかと思っています。

ーー犬は抑うつ効果をもたらすが猫は今一つというのが興味深かったです。

今西:猫がもたらすリスクはこれまでにもいくつかの論文で指摘されているのですが、まだまとまった見解がないという印象です。ですが精神的なリスクとは別に、猫にはトキソプラズマの感染リスクがあるので妊婦の方が飼うことはなるべく避けるようにしてください。

◇ ◇

これから妊娠、出産を控えている方はぜひ参考にしていただきたい。

なお今回の話題を提供してくれた今西さんは日々、SNSやメディアを通し、科学的な見地に基づいた育児や子供に関連した社会問題について情報発信している。特に今年7月に出版された「新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て『これってほんと?』答えます」(西東社)は育児に関するさまざまな伝承にあくまで科学的に向かい合った意欲作なので、ご興味ある方はぜひ手に取っていただきたい。

【今西洋介さんプロフィール】

新生児科医・小児科医、小児医療ジャーナリスト、一般社団法人チャイルドリテラシー協会代表理事。漫画・ドラマ「コウノドリ」の取材協力医師を努める。作中の今橋先生のモデルでもある。NICUで新生児医療を行う傍ら、ヘルスプロモーションの会社を起業し、公衆衛生学の社会人大学院生として母親に関する疫学研究を行う。SNSを駆使し、小児医療・福祉に関する課題を社会問題として社会に提起。一般の方にわかりやすく解説し、小児医療と社会をつなげるミドルマンを目指す。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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