「見えますか、これが私です!」 NHK朝ドラ「舞いあがれ!」さだまさしさん語りの正体が第3話で判明
10月3日からスタートした連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK総合)で、さだまさしさんがつとめる「語り」の正体が明らかになった。これまで朝ドラの語り(ナレーション)は、さまざまなものに“憑依”してきた。現在夕方の枠で再放送中の『ひまわり』(1996年)ではペットの犬に、『ごちそうさん』(2013年)では「ぬか床」に、『おちょやん』(2020年)では「黒子」に……といった具合だ。新しい朝ドラが始まるたびに、「今回はどんな形態の『語り』なのか」というのも、視聴者の「お楽しみ」のひとつになっている。本日5日放送の第3話で、「見えますか、これが私です!」と“自己紹介”をした「語り」。その正体はなんと、五島列島に伝わる「ばらもん凧」だった。ユニークな設定について、制作統括の熊野律時さんに訊いた。
──なぜ、「ばらもん凧」なのでしょうか。
制作統括・熊野律時さん(以下、熊野) 五島列島が舞台になると決まった頃に、脚本の桑原亮子さんから、ぜひ「語り」のキャラクターとして使ってみたいと提案されました。凧は、最初のうちは人が糸を持って走らなければいけません。そこに向かい風をたっぷり受けてグーッと高く上がっていき、気流に乗ったところで凧自身の力で空を泳ぐ。そのイメージが、このドラマの内容に直結している気がします。そして、ヒロインの舞(浅⽥芭路/福原遥)が空にあこがれる「きっかけ」としてぴったりだと思いました。人生にはたくさん大変なこと、辛いことがあるけれど、向かい風も「力」に変えて空高く上がっていく「ばらもん凧」のように、舞にも前向きで明るい人生を歩んでほしいという願いをこめました。
──五島列島の美しい風景に、とても映えていました。
熊野 五島の「ばらもん凧」は子や孫の健やかな成長を願って作り、空に揚げるものです。家に飾られることも多く、地元の方にとってはとても身近な存在です。この「ばらもん凧」が舞の成長を温かく見守っていきます。逆に、舞のほうから凧に話しかけることもあったりして。これから空を飛ぶ夢に向かっていく舞にとって、原点の「在りか」であり、自分を奮い立たせる存在となっていきます。
──さださんの「語り」はいかがですか。
熊野 ヒロインを優しく見守っていく存在の「ばらもん凧」をとても素敵に表現していただいて、これほどぴったりな方はいないなと改めて思います。さださんご自身、物語に深く共感していただいて、「悪人は出てこず、ふつうの“善き人”たちの集まりなんだけど、みんな、ちょっとずつうまくいかない。その中で起こる、ささやかな喜びや悲しみに寄り添って、見守るスタンスで語っていけばいいんですね」とおっしゃっていただきました。すごく的確に芯をとらえていただいたので、スタッフも全幅の信頼を置かせていただいています。
ものづくりの町・東大阪で生まれ育ったヒロイン・岩倉舞は、子ども時代のひと時を母・めぐみ(永作博美)の故郷、五島列島で過ごすことに。そこで得たさまざまな経験や、いろんな人との出会いから、空にあこがれ、空を飛ぶ夢に向かっていく。「ばらもん凧」といっしょに、私たちも舞の成長を見守りたい。
『舞いあがれ!』番組公式サイト
(まいどなニュース特約・佐野 華英)