二本足の子猫が猛ダッシュする姿に感動の輪が広がる 「自分のハンデを受け入れて頑張る姿が凄い」
「手厚い看護のお陰でしょうが、猫さんの生きようとするパワーも素晴らしいですね」
「片側だけでこんなに!すごいよ新兵衛ちゃん」
SNSで感動の輪が広がっています。保護した子猫は大けがをしていて、片側の前後の足が壊死していました。飼い主さんは子猫の命を救うために断脚を決断、獣医師からは今後、歩行が困難になると宣告されていましたが、なんと、子猫は力強く二本の足を器用に使って、走っているではありませんか。「二本足だけど猛ダッシュするのでスロー再生で…」とTwitterに動画を投稿した飼い主の親兵衛(しんべえ)(@shin_bei22)さん。スロー再生とはいえ、二本足で上手に走る親兵衛ちゃん(生後半年くらい・男の子)の姿からは、力強い生命力が伝わってきます。
動画を見た人から他にも、
「しんべえちゃん!凄い!うちのおこめは3本足なんですが、それでも凄いなぁ!と思ってたけど、しんべえちゃんはもっと凄い」
「新兵衛ちゃんに感動です。凄いです。動物はどんな環境でも『生きよう』と必死です。自分のハンデを受け入れて頑張る姿が凄いです」
と、たくさんのコメントが寄せられました。
■飼い主さんに話を聞いた
ーー親兵衛ちゃんはどうして保護されたのですか。
「もともと餌やりさんがいて、猫の親子の面倒をみていらっしゃいました。これ以上増えないようにするためにTNRすることになっていたのです。でも、親兵衛が負傷していて、治療する必要がありました」
ーー重症だったのではないですか。
「大きな傷口に、所狭しとウジがたくさんわいていて、傷口から下の部分は、腫れ上がり、完全に壊死して、麻痺していました。両側の前と後ろ足ということで、歩行困難かもしれないけれど、命を救うことを最優先とすれば、一刻も早く、断脚をする必要がありました」
ーーそれで里親になる決心をされたのですね。
「餌やりさんは、手がかかる子をもう飼うことはできないということでしたので、私が引き取りました。命が助かっても、介護が必要になるかもしれないと思いました」
ーー術後の経過はいかがでしたか。
「当日の夜にはごはんを食べ、明け方には歩こうとしていたため、生きる力はあると思いました」
ーー義足についても考えられたようですが。
「義足の件は、早い段階で装具士の方と相談しました。ただ、猫は何かをつけられるのが苦手な子が多いから、義足を受け入れる受け入れないが半々に分かれると言われました。また、義足をつけた後も何度も微調整か必要となるとも言われました」
ーー義足ってなかなか難しいのですね。
「そうですね。後ろ足は重症だったため太腿から断脚し、可能性がある前足を少しでも残す形で断脚しましたが、炎症が少しでもあると、義足がつけられないんです。また、少なくとも肩が残っていなければつけられないということも説明されていました」
ーー肩は残せましたか。
「親兵衛の炎症は上の方にまで及んでおり、結局、肩から断脚の再手術を行わざるを得なくなり、そのため、義足という選択肢は完全に失うこととなりました」
ーーそれは残念でしたね。
「ただ、現時点で、走り回ることや階段の昇り降りができていて、そして、日々進化していっているため、あまり不自由とは感じていません」
ーー親兵衛くんの姿を見て、どう思われますか。
「まだ歯も生え変わっていない子猫。そんな小さな身体の子が、二本脚でも受け入れて生活していこうと頑張っている姿には、本当に頭が下がります。同時に、猫の順応性は、とても素晴らしいなとも思っています」
二本足でも飄々(ひょうひょう)と生きている親兵衛くん。見ている私たち人間にも生きる力を与えてくれますね。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)