警戒心が強くて保護できなかった野良猫 大雨の日に近寄ってきて父にスリスリ「ペットロスだったけれど救われた」
■警戒心の強い猫、庭に現る
ナビちゃん(2歳・メス)は、2021年8月10日、北海道に住むSさん宅の庭に現れた。警戒心が強く、近づくと逃げてしまうし、自分から近づいてくることもなかった。物置の下の隙間に入ってじっとしていた。
「そのうちどこかに行ってしまうかなと思ったのですが、きれいなブルーの目の野良猫を見るのは初めてだったので、猫用のフードを与えてみたんです」
ナビちゃんはSさんが見ているとフードを食べなかったが、気づくと食べていて、目が合うと再び物置の下に潜った。おやつをあげても反応は同じだった。
■ツンだった猫、家に入る
8月18日、大雨が降っていたので、Sさんはナビちゃんのことが気にかかった。
「とても痩せていて子猫のように見えて、弱って死んだり猫風邪をひいたりしたらと思うと心配で、なんとか家に入れようとしたんです。それまで警戒心の塊のようだったのですが、父が『おいで』と言ったら、近づいてきてスリスリしたんです。そして、そのまま家に入ってきました。捨て猫だったのかもしれません」
ナビちゃんは、まるで以前から住んでいたかのように落ち着いていて、Sさんにも懐いた。出ていく素振りさえない。Sさんは猫を飼うのは初めてだったが、猫エイズなどの検査のために動物病院に連れて行った。
「獣医さんは、『子猫には違いないけれど、もう1歳くらいだね』と言っていました(笑)」
■幸せにしてあげたい
Sさん宅では以前犬を飼っていたが、お父さんにはあまり懐かなかったので、スリスリされたお父さんは嬉しそうだった。Sさんも20歳の時に犬を亡くして以来、「もうペットは飼わない」と言うほどペットロスになっていたが、ナビちゃんに救われたという。
「猫も素敵だと分かって、猫が好きになりました。猫グッズもすぐに買っちゃいます」
Sさんは、犬と猫の違いにも驚いた。
「犬は足元にスリスリしませんが、猫は足元にスリスリしながらついてくるので、慣れないうちは転びそうになりました。それに、犬は頭を撫でられるのが好きでしたが、ナビは頭は苦手。お尻トントンが大好きです。犬と猫で全然違うなと思いました」
猫様のスペースを増やしたり、枕を取られても猫様優先になったというSさん。
「大切な小さな命、これからも幸せにしてあげたいと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)