猫風邪でふらふらで現れた子猫 初対面は素っ気なかったが今では無断外出にプンプン「言葉が分かってると思う」
■いつかやりたいと思っていたことを実行
もちちゃん(1歳5ヶ月)は、ひどい猫風邪をひいて、ボランティアさんが活動している地域にフラフラと現れるようになり保護された。直前にもちちゃんと柄が似た子猫が保護されたので、兄弟だと判明したそうだ。他の兄弟たちは先に里親が決まり、施設に残ったもちちゃんは他の猫たちと暮らしていた。
大分県に住むGさんは、以前は海外で暮らしていた。旅行が趣味だったので、「猫は好きだが、飼うことはできない」と長年思っていた。しかし、コロナ禍、ロックダウンや在宅勤務で家にいる時間が増え、自分の人生についてじっくり考えることができた。
「いつかは・・・と考えていたことを、今すぐに実行しようと思い、その第一弾として日本に戻り、戻った暁には猫を飼おうと決めていました」
Gさんはもちちゃんを飼うまでは、道端にいる猫の写真や動画を撮影して、心の準備をしたという。
■数時間後には甘えてくれた
譲渡会に行くまでは特にどういう猫を飼いたいか思い描いてはいなかった。2021年10月、初めて参加した譲渡会で、控えめでハンサムなもちちゃんを見つけた。もちちゃんはイマイチGさんのことを歓迎する素振りはなかったが、Gさんの手の匂いを嗅がせても嫌がらなかったのでもちちゃんに決めた。
「もちはツンデレなところがあるので、少し反応が薄かったのだと思います」
もちちゃんは、トライアル前に猫風邪と皮膚炎にかかり入院したため、予定より2週間遅れて、11月にGさんのところにやってきた。
「子猫の風邪は命の危険もあると知っていたので内心ドキドキしていましたが、うちに来てすぐに家の中を探検し、数時間後には私に甘えてくれました。私の直感は正しかったと実感しました」
■便利グッズを活用
Gさんは、昔実家で猫を飼っていたが、半外猫で両親が世話をしていた。実際に自分で猫を飼ってみると、トイレ掃除など思いのほかやることが多かった。
「夜中に近い早朝に起こされたり、夜遅くに起こされたりしましたし、一人暮らしなので自分の体調が悪くてもトイレの掃除やお世話をしなくてはならず、思った以上に大変だと感じました」
しかし、今は便利なグッズがたくさんある。自動給餌器を使うと早朝から起こされることも無くなった。トイレは一日に何度も掃除するが、猫の健康チェックと思い、自分のルーティンにうまく組み込むことができた。
「今はいかにいいうんちを出してもらうかにハマっています(笑)フードの種類や与え方を工夫するのも楽しくなっています」
■あうんの呼吸で接してくれる
もちちゃんを迎えて心穏やかに過ごせる日が多くなったというGさん。後にもちちゃんの相棒のくもちゃんという猫も迎えたが、2匹ともお喋りなので、猫たちと話すことも多い。
「今までは自由気ままだったのですが、猫たちが待っていると思うと『早く家に帰りたい』と思いますし、まだ外泊は勇気がなくて、必ず家に戻っています」
もちちゃんは穏やかな性格で、Gさんの様子をよく見ていて、体調が悪いと心配してくれる。
「その包容力に癒されることもあり、息子なのか父親なのか分からなくなるほど心強い存在でもあります」
何も言わずに外出すると不機嫌になるが、行き先と帰る時間を伝えておくと不機嫌にならないというもちちゃん。Gさんは、「空気が読めるというか、言葉も分かっていると思います」と言う。相通じる何かがあるのかもしれない。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)