物怖じしない子猫…譲渡会では抱っこにゴロスリ、お返事も 甘えん坊で元気いっぱいに成長
■堂々とスーパーや薬局に入る子猫
はづきくん(1歳1ヶ月・オス)は、人を怖がらずにスーパーや薬局に入っていく子猫だった。野良猫ではなく、誰かに捨てられたのかもしれない。スーパーの裏でニャーニャー鳴いていたところをボランティアに保護され、その後、里親を募集したという。
大阪府に住む宮原さんは、犬とは暮らしたことはあったが、猫を飼ったことはなく、いつか飼ってみたいと思っていた。少しでも保護活動に貢献したいという思いもあり、譲渡会で猫を探したそうだ。近所で複数の保護団体が合同で譲渡会をしていたので、最初は犬の散歩がてら行ってみた。いろんな団体の人に話を聞き、いろんな猫を見たが、即決できずその日は帰宅した。
2021年10月、宮原さん宅からいちばん拠点が近い団体の譲渡会に参加すると、とても親切に説明してくれた。そこで出会ったのがはづきくんだった。
■猫ってこんなにフレンドリーなの!?
宮原さんは、生後半年以上の、子猫というには少し成長した猫を探していた。
「FIP(猫伝染性腹膜炎)などの病気が心配だったのです。あまりにも小さいと分からないので。でも、母がどうしても子猫から育てたいと小さい子ばかり見ていました。黒猫が可愛いと言うので私も抱っこさせてもらったのですが、めちゃくちゃフレンドリーだったんです!!!」
他にも子猫を5匹くらい抱っこしたが、どの子猫も嫌そうだったり、されるがままだったり、緊張のあまり爪を立てたりした。しかし、はづきくんは大音量でゴロゴロ喉を鳴らし、話しかけると大きな声で返事をしてくれた。
「こんなフレンドリーで人懐っこい子がいるんだ!と驚き、、エントリーしました。今思うと、平気でお店に入って行ったのが目に浮かぶようによく分かります。」
■大変だった真菌の治療
10月21日、はづきくんのトライアルが始まった。生後2ヶ月半過ぎだった。はづきくんは最初は戸惑っていたが、すぐに宮原さんやお母さんにゴロゴロスリスリしてくれた。ただ、お父さんのことはシャーシャー威嚇した。先住犬のトイプードルとは特に問題なく過ごすことができた。宮原さんはトライアル期間の1週間が終わるより前に正式に譲渡してほしいと申し出た。
はづきくんは家に来た時、猫風邪をひいていた。
「預かりボランティアさんから聞いていて、『お迎えを延期しますか?』と尋ねられたのですが、子猫なので体調を崩すこともあると覚悟していました。なので、猫風邪を引いたまま迎えたのです。すぐに動物病院に連れて行って治療してもらったのですが、なかなか治らず、真菌にもかかってしまいました」
人や犬に真菌がうつるといけないので、はづきくんはケージが嫌いだったが一日の大半をケージで過ごすようになった。消毒と隔離が大変だったという。塗り薬とクリアファイルで作ったエリザベスカラーで対処して、1ヶ月半で完治したそうだ。
■甘えん坊で元気いっぱいの猫
はづきくんはおしゃべりで甘えん坊。抱っこも大好きだ。夜は、いつの間にか宮原さんの腕の中で眠っている。分離不安気味で、少しでも家の中で離れ離れになるとすごい声で叫ぶという。
「いたずらをしている時以外は私のストーカーで、高いところに登って私についてきます。最初の頃は夜の大運動会が激しくて、エネルギーが有り余っているようだったので、後にもう1匹お友達として猫を迎えました。にゃんプロをしたり、おもちゃを取り合ったりして、今は夜の運動会は減りました」
はづきくんと暮らし始めてから家がとてもきれいになったと言う宮原さん。いたずらされないように整理整頓するようになったそうだ。「ごはんをあげなくちゃ!」と思うので、早起きも習慣になった。もっと犬や猫のことを知りたいと思い、資格取得を目指したり、オンラインセミナーを受けたりしている。
宮原さんにとってはづきくんは家族であり、親友であり、子どもでもある。
「せっかくうちに来てくれたので、ずっと幸せに、楽しく長生きしてほしいといつも思っています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)