殺処分の淵から救われ、迎えた子猫は超ビビり&甘えん坊 単身者は不可だったが数々の条件をクリア「私が守る」
■命拾いした2匹の子猫
きなこちゃん(4歳・メス)は、2018年12月初旬、保護団体のボランティアに姉妹と一緒に長崎市動物管理センターから引き出された。保護団体のボランティアによると、当時は子猫を保健所や動物管理センターに持ち込む人が多く、きなこちゃんたち兄弟姉妹は、最初は全部で6匹いたそうだ。3匹ずつ二つのケージに入れられていた。
動物管理センターではすべての猫を保護しておくことはできないので、任意に選ばれた子猫が殺処分される。次第に子猫の数は減っていき、最終的にはきなこちゃんともう1匹の姉妹猫が生き残った。その頃、保護団体にも受け入れる余裕ができたので、2匹を保護して里親を探したそうだ。
■引っ越しして、猫と暮らそう
福岡県に住む太田さんは、小学生の頃、お父さんが拾ってきた猫と暮らし始めた。その猫は22年生きたが、高齢のため体調を崩して、介護生活を経て息を引き取った。
「ずっと猫が好きで、一緒に暮らしたいと思っていました。大人になってから環境を変えたいと思う時期があり引っ越しを決意。その時、どうせ引っ越すなら猫と暮らしたいと強く思い、実行したのです」
太田さんは飼うなら三毛猫がいいと何となく思っていた。インスタグラムで猫を探すと1匹の尻尾の短い猫がいて、その魅力にはまった太田さんは、「尻尾の短い三毛猫」にしようと思った。
譲渡サイトで猫を探すと、三毛猫以外にもハチワレや白黒猫など惹かれる猫がいた。そして見つけたのがきなこちゃんだった。
「第一印象は、『友達に顔が似ている』でした(笑)。姉妹の三毛猫も気になって迷いましたが、最初のインスピレーションを大事にしました」
単身者への譲渡は不可だったが、太田さんは「どうしても迎えたい」と思い、なんとか数々の条件をクリアして、無事きなこちゃんを譲渡してもらった。
■甘えん坊の超ビビり
2019年2月9日、ボランティアが長崎からきなこちゃんを連れてきてくれた。生後半年になっていた。太田さんは、特に猫の年齢にこだわりはなかった。
最初は用意しておいたケージにきなこちゃんを入れたが、暴れることもなくおとなしくしていたという。ボランティアが帰ってからケージの扉を開けると、きなこちゃんは恐る恐る出てきて、ゆっくりと部屋の中を探検した。
「しばらくすると私の足元に寝転がり、慣れてきた様子で落ち着いていました。翌日も仕事を休んで、家の中でずっと一緒に過ごしました」
太田さんは仕事の都合上、長時間家を空けることが多く、きなこちゃんに寂しい思いをさせるのを申し訳なく思った。
「もう1匹迎えた方がいいのか悩みましたが、相性も心配ですし、一途に愛情を注いであげるのが一番かなと思っています」
きなこちゃんは甘えん坊。太田さんが帰宅すると、いつも文句を言いながら擦り寄ってくる。超ビビリな人見知りでもあり、友人が家に遊びに来ると、ベッドの奥に隠れて出てこない。ただ、太田さんのお母さんだけは違っていて、もうすっかり慣れている。
太田さんは、「きなこはかけがえのない家族です。この子を守れるのは私しかいません。この子のために頑張ろうと思います」と言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)