鳴りやまぬ拍手をピタッと止める あの「いいとも!」現象はV系バンドのライブの定番説
コロナ禍以降、ヴィジュアル系バンドのライブで「笑っていいとも!」現象が起こると紹介する漫画が、Twitter上で大きな注目を集めている。
ヴィジュアル系バンド「† 色々な十字架 †」が拡散して以来、流行中のハッシュタグ「#ヴィジュアル系でとても楽しかったこと」を添え、この作品を投稿したのは作者の蟹めんまさん(@kanimen)。
この作品は月刊誌「本当にあった笑える話」(ぶんか社)で蟹めんまさんが連載中の「健康第一!バンギャル荘」2022年07月号に掲載されたもの。
声出しが出来なくなってしまったファンたちにとって、ライブ終了後にその熱い思いを表現できるのは拍手だけだがそれもあまり長引くときりがない。そこでバンドメンバーたちは1982年から2014年まで放送された、かの人気番組「笑っていいとも!」でタモリがよくやっていたように、ほどよいタイミングを見計らって「チャン!チャチャチャン!」と締めるわけだ。
この興味深い現象について、Twitter上のヴィジュアル系ファンたちからは
「タモリさんはやはり偉大であった・・・やりたくなるもん」
「バンドマンの方もアラフィフ率上がってきましたからねえ…」
「笑ったけど、この時期を乗り越えた者たちが後々『こんなことがあってな…』って語り部になっていくのも楽しいだろうな」
「拍手のやつの元ネタいいともなんだ!この前行ったアイドルのライブでもコロナ前に行った2.5の舞台でもやってたからなんのやつだろうと思ってた。」
など数々の共感の声が寄せられている。
■漫画の作者に聞いた
蟹めんまさんにお話を聞いた。
ーー笑っていいとも!現象はコロナ禍以降に始まったのでしょうか?はじめてご覧になった際のご感想をお聞かせください。
蟹めんま:この現象自体はコロナ以前からありました。いつからという正確な記憶はないのですが、いいとものタモリさん由来のものなので「笑っていいとも!」が放送されていた期間のどこかからだと思います。
私がライブハウスに通いだした2002年くらいには、すでにやっているバンドマンはいたような気がします。その頃の感想は「お茶の間ノリもできる人たちなんだ、愉快だな」「お茶目だな、かわいいな」といったものです。ヴィジュアル系は普段ミステリアスな印象な方が多いのでギャップがよかったです。
コロナ禍以降にこの現象に遭遇した時は「いいとも世代の日本人は、長時間拍手をした時はタモさん拍手でシメるのが幼少期から沁みついてるんだな」「声でのコール&レスポンスが制限された中で拍手による掛け合いのような感じで、ちょっとした一体感も感じられて良いな」とお感じました。
バンドマンもお客さんもひと笑いしてライブがシマるので平和な雰囲気になりますし、若そうなバンドマンだと「若く見えるけど、案外同年代なのか?お客さんもその世代なのか?」と、バンドマンやお客さんの年齢層が気になります。真剣なステージングだけでなく、お茶の間ノリもできる愉快な人たちなんだなとバンドマンへの印象もより良くなります。
ーー蟹めんまさんが訪れるV系ライブの客層の年代をお聞かせください。
蟹めんま:出演バンドによって大きく変わってきますが、多いのは20代~40代かもしれません。この拍手を失敗したり、ポカーンとしているお客さんは「若いんだな」と思って観ています。逆にものすごくキレよくキマると、気持ちよさとともに「あ!年齢層バレた(笑)」みたいな空気を感じます。
ーーこれまでのコメントや反響へのご感想をお聞かせください。
蟹めんま:アイドルさんや他のジャンルの催し物でもこの現象を見たことがあるという方がいました。
また、お若い方から「これ、知らないでなんとなく周りに合わせてやってたけど、タモさんなんだ~」というお声もあり、昭和平成のノリが令和に継承される瞬間を目撃できて嬉しかったです。
◇ ◇
蟹めんまさんはこの他にも「バンギャルちゃんの日常」(KADOKAWA)などでヴィジュアル系バンドをテーマにした漫画を執筆している。一部、Twitter上でも紹介されているが、いずれも興味深くクスリと笑えるものばかり。80年代、90年代に青春を過ごした方でなくとも楽しめる内容なので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。
蟹めんまさんプロフィール
奈良県出身、漫画家。大阪芸大卒。おふろの国熱波道プロレス所属。現在、バンギャルを題材にしたコミックエッセイ「バンギャルちゃんの日常」1巻~4巻がKADOKAWAより発売中。ぶんか社の月刊誌「本当にあった笑える話」で「健康第一!バンギャル荘」連載中。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)