先代猫が天寿を全う→家族「もう飼わない」→ネズミ発生→「やっぱり飼おう」→効果抜群! 大切な家族も増えて全て丸く収まった話
■1匹なら迎えてもいい
みうちゃん・みりちゃん(5歳・メス)は、民家の倉庫の中で生まれた。その中でも弱っていた3匹が保護団体に保護された。その3匹の中にみうちゃん、みりちゃんがいたという。2017年4月23日のことだった。
長野県に住むDさんは猫を飼いたかったが、同居する義父母が飼っていた先代猫が老衰で死んで以来、2人とも「もう猫は飼いたくない」と言っていたので、半ばあきらめていた。そして、新たに猫を迎えることは義母に反対されていた。Dさんは「猫を飼いたい」と家族に言い出せず、せめて猫に会いたいと思い、猫日和の保護猫ハウスというところに娘と時々遊びに行った。
しかしそんなある日、家の中にネズミが入り込んだ。ネズミはあちらこちら齧り、電気コードも噛みちぎり、あちらこちらに糞をした。しかし、姿は一向に見せず、捕まえることもできなかった。猫がいた時はこんなことはなかったという話になり、ついに義母は「1匹だけなら飼ってもいい」と言った。Dさんは、「できるだけ早く引き取れる子で、子供がいるのである程度適応力のある子猫がいい。どの子が来ても可愛がるので」と、猫日和のスタッフにお願いした。
「そりゃあ2匹、3匹と飼いたかったのですが、1匹という約束だったので人馴れしやすい子を迎えようと思いました。猫が懐いてくれたら、義母だって可愛いと思って2匹目も許可してくれるかもしれないと思ったのです。そして、1匹目はみうを迎えることにしたのです」
■姉妹で暮らせることに
2017年の秋にみうちゃんを猫日和のスタッフが連れてきてくれた。みうちゃんは頭のいい子で、トライアル初日からすぐにくつろぎ始めた。Dさんはみうちゃんの部屋で一緒に寝たが、夜中に一声だけ不思議そうに鳴いたので、「いるよ、ここに」と声をかけたら、じっとDさんを見て朝まで眠った。
「翌日にはパトロールを始めて、私がそのお供に選ばれました。少し進んでは私の方を見て、部屋中を歩き回りました」
翌々日の夜、ネズミは天敵の気配を感じてパニックになったのか、姿を現し、家族に捕まえられたという。
その後、みうちゃんの正式譲渡の直前、Dさんは2泊の旅行に行くことになり、義母にみうちゃんの世話を頼んだ。
「留守番の間、寂しい思いをさせてしまうことや、今なら保護猫ハウスに仲が良かった姉妹猫のみりがいることを話し、みりを迎える許可を得ました」
■自分が帰る場所ができた
みりちゃんを連れてきてもらうと、主にみうちゃんがシャーシャー威嚇した。
「やはり1カ月も離れていると忘れてしまうのか、初日はご機嫌斜めでした。でも翌日にはお尻で挨拶して、みうがバードウォッチングをする場所にみりを案内しました。その後は、肩を並べてご飯を食べ、仲良くしています」
みうちゃんもみりちゃんもインドア派。ほとんど、Dさん家族が暮らす2階にいる。
「1階に行く時は、私についてきてほしいと言うんですよ。窓辺で日向ぼっこするのが好きで、冬はこたつに入って抱っこをせがみます」
実はDさんの夫は猫アレルギー。最初は夫の部屋には猫を入れない約束だった。しかし、夫本人が猫が入れるようドアに隙間を開けていたので、猫が自由に出入りできるようになった。みうちゃん、みりちゃんを飼ってから、夫は「少し免疫ができた気がする」と言っているそうだ。猫が4匹いるDさんの実家に行っても、保護猫ハウスに行っても、それほど大事には至っていないという。
こうして2匹の猫を飼えることになったDさん。
「みうもみりも癒しであり、大切な家族。私にとって夫の実家である家が、本当に自分が帰る場所になった気がします」と言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)