都道府県最高峰で一番低いのに…なぜか“登りにくさ”は日本屈指!? 実は首都圏防空の要だった

房総半島にある愛宕山は標高408.2mで千葉県の最高峰だが、各都道府県の最高峰の中では最も低い。しかも“登りにくさ”では日本屈指という、変わった特徴をもつ。いったい、どういうことなのか? 調べてみると、日本の国防に絡む事情が見えてきた。

■山頂エリアは航空自衛隊の基地…一般人は原則として立ち入り禁止

愛宕山の位置をあらためてグーグルマップで確認してみると、房総半島の先端からやや奥まった位置にある。さらに寄っていくと、山頂エリアに何らかの施設が設けられているのが見える。巨大なゴルフボールのような建造物と、少し離れたところに建つ鉄筋コンクリートの建物が点在するエリアに分かれている。そこは「航空自衛隊峯岡山分屯基地」で、中部航空警戒管制団(入間基地)隷下の第44警戒隊が配置されている。

航空自衛隊の基地といえば航空機を運用する飛行場のイメージをもつ人が多いけれど、峯岡山分屯基地は航空基地ではない。北海道から沖縄まで28カ所に設置されているレーダーサイトのひとつで、関東地方周辺の空域を、24時間態勢で警戒監視する任務にあたっている。愛宕山の山頂エリアは太平洋と東京湾入口に挟まれた位置にあり、首都圏をレーダーで監視するには都合のいい場所なのだ。

余談ながら、レーダーサイトが設置されている地域によっては、海の向こうで発射された弾道ミサイルを捉えることもある。

峯岡山分屯基地は、1953(昭和28)年6月、米軍により建設され、1961(昭和36)年に航空自衛隊の第44警戒群になった。

その後、2000(平成12)3月、部隊の改編により「第44警戒隊」となって現在に至る。警戒隊のほかには第1高射群指揮所運用隊が置かれているだけで、敷地も広くはない。

こんな山奥の基地で、何人の隊員が勤務しているのか、基地の広報に尋ねてみると「秘密保全のため、お答えできません」とのこと。

日本一登りにくい謎も、これで察しがつく。技術的に難しいから登りづらいのではなく、自衛隊が管理しているエリアだから、一般人は立ち入ることができないのだ。

だが、方法はある。山頂に立って三角点を確認したい場合は、2週間前までに基地の広報係へ申し込めば、隊員が同行して立ち入ることができるそうだ。

「コロナ禍の前は、年間1000人くらいの方が訪れていました。男女の比率は半々ですね」

しかし今は「新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当面の間は三角点の見学も申し込み受付も中止しています」とのこと。

一方で、お楽しみもある。「基地開庁記念行事」を行うべく調整しており、詳細が決まり次第ホームページに掲載するという。また、例年だと4月か5月にヘリコプターの体験搭乗を実施しているそうだ。今年はコロナ禍の影響で中止されたが、コロナ禍が収束して、基地のイベントや三角点への立ち入りが早く再開されることを願う。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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